趣味に生きる

紫鯖で活動してい『た』、とあるランサーの日記。

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あれ?途中の人物は・・・・

そういえば
本編と前説(?)の間をちょっと開けて欲しいかな~
ハクロン | URL | 2008/06/19/Thu 12:50 [EDIT]
ハクさん>
>あれ?途中の人物は・・・・
そこは次回に明らかになります。
決してミスしたわけではないです、断じて(笑)
あとがきが前に来てるやつと本編、もうちょっと開けておきますね。
ティルナ | URL | 2008/06/19/Thu 16:10 [EDIT]

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第十九夜 ”幕間”

小説っぽい読み物 2008/0618 Wed 20:07:38
一週間で更新できた (ノ∀`*)

こんばんは、ティルナです ヽ( ゚∀゚)ノ

もはやここまで来ると文章もすらすら出てくるなぁ、と自分でも感心。

今回、KIAI入れすぎた感が否めない。。。

いよいよ次回で最終回? まだよくわからない(笑)

狂月の後、どうするかも未定。

あ、オールスター戦について色々書かないといけないね。

まぁ、オールスター戦は西軍の準備が出来次第、記事をUPしていきます。

とりあえず、今は小説を・・・ ( ゚д゚)


それでは、本編をお楽しみください m<_ _>m
「・・・行くか」

紅き月たゆたう空の下。

天すらも二分するほどの塔を見つめて、静かに呟く。

砂避けのための外套が、夜風になびく。

時刻は午前0時。

新たな時が刻まれる中、塔の内部へと歩を進めた。














「本当に行くのですか?」

体調がだいぶ良くなったヴォルターさんを見舞い、病室を出ようとしたところ、不意に

そう尋ねられた。

「はい」

病室の入り口を向きながら、振り返らずに答える。

「・・・覚悟は出来ている、と。そういうことですね」

背後でヴォルターさんの声がする。

想像しかできないが、恐らくヴォルターさんは窓の外を見ているに違いない、と思った。

「はい」

はっきりと、自身の意志を伝える。

「・・・わかりました。御武運を」

ヴォルターさんなりに、気を遣ったのだろう。

病室を出る間際、少し振り返って

「はい、では、俺はこれで」

笑顔でそう返した。

閉められる扉の向こう

細くなる視界の向こうで、彼の顔はずっとこちらを見ていた。














奥行きがほとんど無い通路を進み、魔法陣へと足を踏み入れる。

昨夜と同様、一瞬光ったかと思うと、既にそこは見覚えのある場所だった。

開かれた天井から月明かりが差し込み、部屋全体を照らし上げる。

石畳を思わせる床は整備され、歪んだ箇所など一切無い。

茶褐色の、レンガを思わせる壁には美しい装飾が施され、さながら王宮のようだ。

今夜は一際天気がいいのか。

空を彩る月はなお大きく、それに付属するかのような星々はなお輝かしく。

天が近いような、そんな錯覚を覚えそうなほど、空は綺麗だった。


歩を進める。

鎧が擦れる音と、カツン、カツンという足音のみが、響き渡る。

建物の奥までしっかりと照らし出されたその奥。

床から少々高いところに作られた台座、昨夜と同様に一人の人物が腰掛けている。

見覚えのある人影は、既に俺の存在を認知していたらしい。

歩を進めるにつれ、互いの視線がより鮮明になる。

やがて、ある程度の距離まで近づくと、トンと台座に腰掛けていた彼女は、飛び降りた。

そこで俺も、歩を止めた。

「待ちわびたわ。昨日は邪魔が入ってしまったけれど、今夜は違う」

そう言うと、彼女は紳士のように慇懃に礼をすると

「ようこそ、お待ちしておりました。塔の主として貴方様を歓迎いたします」

静かにそう言った。

もっとも、その雰囲気はこの場から逃すつもりなど無いと告げているようなものなのだが。

「随分と大仰な挨拶なんだな」

俺の感想を聞いて、彼女は得心がいったように頭を上げる。

深紅の美しい瞳が、今夜は禍々しさすら感じさせる。

「それはもちろんよ。この日を迎えるために何百、何千という日々を過ごしてきた。数百年前は失敗してしまったけれど、今回はもうそのような失敗はしない。今夜はこの世界が生まれ変わる、新たな一歩になるのだから」

嬉々として彼女は語り続ける。

「あぁ、思えば本当に長かった・・・。本来ならばもっと早くこの段階には持っていけたというのに・・・誤算は度重なるものね」

嬉々として語っていた彼女は、突然表情を曇らせる。

「・・・誤算だと?」

「えぇ、誤算よ。本来なら、この身体を奪うのにこんなに時間はかからなかった。誤算が生じたのは、数百年前にあの女があの剣を持っていたこと、そしてもう一つはこの身体の本来の持ち主が、強い意思を持ってしまったことね」

ルティの・・・強い意思?

・・・あぁ、彼女は復讐を誓っていたのだった。

ヴォルターさんと彼の使い魔による襲撃で父を亡くした彼女は、その仇をとるために

旅をしていたんだ。

彼女の話は続く。

「本当に大した精神だったと思うわ。まぁ、そうでなかったら乗っ取る意味が無いというものだけど・・・。精神に干渉するために、彼女の心象風景から入るしかなかった。もっとも、彼女にとってそれは夢にしか見えなかったでしょうけどね」

「・・・そうやってルティの身体を乗っ取ったのか」

静かな問いかけに

「そうよ」

はっきりと、彼女はそう答えた。

「・・・そうか」

「少しは戦う気になったようね、アルタ?」

笑みを浮かべながら、彼女は言った。

「少しどころじゃないさ。俺は、彼女と約束したのだから」

カバンから、静かに剣を引き抜く。

空の右手で空気を掴むようにして、手を滑らせる。

振られた手には、既に一振りの剣が握られていた。

「・・・スキルレボリューション」

こちらが握った剣を、彼女は即座に見抜く。

騎士の修行に旅立つ我が子のために、名匠が心血を注いで作ったと伝わる剣。

その卓越された技術の結晶は、持ち主が誰であろうと、その威力は変らない。

こちらが剣を引き抜いたのを見て、彼女の空の手が空を撫でる。

瞬く間に、彼女の手がランスを握る。

「最後に聞いておくけど・・・」

彼女はそう前置きして

「世界に、興味は無い?」

真剣に、そう尋ねてきた。

そして、それは恐らく最後通牒なのだろう。

その問いかけに、俺は

「悪い、世界になんて興味無いんだ」

静かに微笑みながら、そう返した。

その答えが返ってくるのは当然か、と彼女は残念な笑みを浮かべ

「そう、ならいいわ」

決別の意志を持って、俺を見据えた。



「このまま、戦うことになってもいいんだけど」

不意に、不適なまでの笑み浮かべて、彼女はそう言うと

「これで、あなたもやる気を出さざるをえないと思うわ」

パチン、と指を鳴らした。

途端

ドクン、と。

まるで生命が宿ったかのように、塔全体が大きく鼓動した。

見れば、茶褐色だった壁が徐々に血の気が通うように赤みを帯びていく。

壁と思えたそれには、既に血が通い、うっすらとではあるが神経すら見える。

「・・・何をした?」

「ちょっとしたセレモニーよ。この塔にはとある役目があってね。ただ闇雲に建てたわけじゃないのよ」

言って彼女は再び指を鳴らす。

と、空中に3つほど映し出された巨大な四角が、地上の様子を映し出した。
















紅い月が地上を染める。

塔の周囲に巻き起こる風が、容赦の無い砂嵐を作り上げる。

砂礫の大地は今宵も白く、静かな刻を迎えている。

だが

今宵は既に新刻を刻んでいる。

新たな歴史が始まろうとしているこの大地。

塔の麓、多くの墓が立ち並ぶその域で

ボコン、となにやら黒い腕が砂より突き出される。

一本の腕が突き出されたのと同時に、周囲からも同様に次々と腕が突き出される。

両腕を突き出し、地下と地上の境に顔を出したそれは

紅い醜悪な光を目に灯す、骸骨だった。

塔の起動により呼び起こされた怨嗟が、骸骨という具現された形を取る。

そうして、砂から這い上がり自由となった骸骨たちは

――――!!!

砂舞う空へと咆哮を上げる。

その声は何を意味しているのか。

いや、意味を問いただすまでも無い。

彼らを動かしているのは現世への憎しみ、妬み、殺意。

ありとあらゆる負の感情が、塔全体から放たれる魔力により、形作られる。

白く砂だけだった大地に、黒と赤のシミが広がっていく。

その数は、無限と言える。

・・・本来ならば、無限などと言うことは存在しない。

万物は全て有限であり、それは認知する人間の限界が生み出した概念に他ならない。

しかし、地下から次々と湧き出してくる骸骨の数は、現に無限だった。

人間が積み上げてきた歴史が、想いが、形の無い物が形になっていく。

すなわち、彼らこそ具現化された恐怖そのものである。

瞬く間に大地を黒く染め上げた骸たちは、行進を開始する。

全ての生を殺すため、全てを死に染め上げるため。

両の手に握られた剣が、微かな軋みをあげる。

果ての無い憎しみの連鎖が生み出した、狂った生態が動き出す。



























「・・・始まりましたか」

西の空にそびえ立つ塔を見つめながら、彼はそう呟いた。

塔が立つ位置から遥かに東。

ブレンティルから滝を越えた、森と砂漠とを隔てる地の上空に、彼はいた。

「今あそこで、彼と彼女が対峙しているのですね」

頂上の見えない塔の空を仰ぎ見ながら、誰に確認するでもなくそう呟く。

不謹慎ではあるが、舞台としてはこの上ない場所だろうと彼は思った。

かつて単身で乗り込んだ身として、改めて塔の高さに感慨深ささえ覚える。

「それにしても・・・」

仰ぎ見ていた視線を、地上に戻す。

森と砂漠の上空に陣取る彼の視線が、地上にいる『それら』に向けられる。

その地上にはびこる黒々としたシミに、表情が一瞬こわばる。

「700・・・800・・・だめですね。目視できるだけで既に4桁は・・・」

街は既に暗闇に沈んでいる。

今宵、この時、この場所にいるのは自分のみ。

逃げるならばまだ間に合う。

空中にいる自分ならば、そのまま安全な場所へ避難することも可能だろう。

しかし

『はい、では、俺はこれで』

青年は覚悟を決めて、部屋を後にした。

その時の言葉が、脳裏をよぎる。

端から見ても、彼にとって彼女はとても大事な存在であったことは、明らかだった。

だが、その彼女をも殺すということに、彼は戸惑うことすらなかった。

すなわち、彼は既に決心していたのだ。

大事なものを守る代わりに、大事なものを失うことになろうとも。

その覚悟に、その想いに―

「恐れることなど無い。ただ、彼の目的が遂げられるならば」

杖を持つ手に力が篭る。

骸たちの行軍は、もはや半分を過ぎようとしている。

眼下に広がる無数の骸たちに、自身はどれだけ持ちこたえられるか。

否、そのような考えではやられる。

守るよりは攻めを、立ち尽くすより、前進を。

彼が目的を遂げるまで、ここには自分しかいない。

自身の魔力を杖に宿す。

魔力を抑えつつ、半分ほどの力で運用していく。

先は長いのだ、それも、ゴールなどレースの当事者たち次第で変わるという変則ぶり。

ゴールが見えるまで、決してペースを乱してはならないというルール。

そのような冗談めいたレースに、彼の唇が一瞬緩む。

それで覚悟は決まった。

まずは、あの先頭部隊を焼き払わねば

「メテオ―・・・<飛来せし―・・・>」

上空から地上へと滑空し、杖をかざす。

と、彼の背後の上空から炎の尾を引きながら、巨大な岩が複数、骸目掛けて降り注ぐ・・・!

「―シャワー!<―絶望の偶像!>」

骸たちがそれに気付いたときには、もはや逃げる暇など無かった。

そのような重量のあるものを、自身の刃ではじくことが、どうして出来よう。

かくして、視界一杯に迫った隕石が、炎が、周囲一体を飲み込んでいく。

黒いシミに、赤く燃え上がる大輪の花が咲く。

決して諦めるな、と。

塔の頂上にいる人物への激励のような轟音が、呻りをあげる。

その一撃を皮切りにして

戦闘が、始まった。














































それは、突然だった。

橋を渡った先に進軍するはずが、突如として足が動かなくなる。

周囲も突然動かなくなり、さらにどういうことか徐々に沈んでいっている者さえいる。

と、周囲の骸の下半身が、何物かに噛まれているような、そんな絵が飛び込んできた。

それにつられて、自身も下半身を見つめると

黄色い、触角を持った蟲が、ゆっくりと自身を咀嚼していることに気付いた。

そこに至るまで実に数秒。

喰われていると悟った骸たちの混乱は、たちまち全体へと伝播した。

脱出を試みるも、動いても動いても抜け出ることは無い。

ならば、と骸の一匹が手に持った剣で蟲を斬りつける。

しかし、蟲はビクともしない。

恐怖の具現であるはずの彼らに、喰われるという恐怖が覆いかぶさる。

"急ゲ!急ゲ!急ゲ!急ゲ!急ゲ!――”

叫びはいつしか、阿鼻叫喚へと変わっていく。

手にした剣で何度も蟲をたたく。

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も――!!

しかし、蟲が咀嚼をやめることは無かった。

やがて、自身の視界が地面に近くなったとき

数百体目かの進軍していたそれは、橋の淵に佇む、金色の目をした悪魔を見た気がした。

相手が悪魔ならば、自分たちが勝てる見込みが、どこにあったというのだろう。

骸は自身の蒙昧さを呪いながら、視界を閉ざしていった。














同時刻。

アリアンから遥か南方。

デフヒルズのやや東方に位置する橋の淵に、彼女は立っていた。

ケルチ大橋。

まだ建国されて日が浅いビガプールとをつなぐ大きな橋に、彼女は腕を組んで立っていた。

タイトなズボンに、白く一切の皺も汚れも見れないワイシャツを着ている。

腰まで届きそうなほどの赤く長い髪が、夜風になびき、まるで炎が燃えているかのようだ。

「・・・来たか」

遠目で『それ』を確認すると、彼女は眼鏡を外し、タバコを足元に捨て、踵で潰した。

彼女の位置から遥か前方。

ウェテンロード上、砂埃を巻き上げながら近づいてくる軍勢があった。

すなわち、恐怖の具現である骸たちの群れである。

「リンケンを既に通過したのか、大したものだな」

彼女は感心したように、そんな感想を漏らした。

もっとも、リンケンの住民は既にビガプール兵により、避難させられていた。

ビガプールの重臣とのコネが、意外なところで役に立ったな、と彼女は感じていた。

・・・思えばここに至った経緯を考えてみても、ビガプールの重臣の使者が来たからだった。

話を聞くと、国を守るための兵が足りないということだった。

報酬もそう悪いものでもないと思った彼女は派遣させる冒険者を探していたが、見つか

らなかった。

ゆえに、自身がここに来る破目になってしまった。

「やれやれだ、このような形で再び関係を持つとは。運命は必然である、とはよく言ったものだ」

紅い月の明り、暗闇が覆う地上において、彼女の金色の瞳がまるで飢えた猛獣の

ように鈍く、妖しく光る。

と、一瞬だけ、見えないはずの塔を彼女は見つめる。

「ならばこれも運命か、あそこで対峙している二人も、運命の交錯がもたらした結果なのか・・・」

自身の思考に埋没しかける彼女の耳に、骸どもの叫びが聞こえる。

「あぁ、そんなことより、今はこっちだった」

ふと思考を止め、もはや目前にまで迫りつつある群れを注視する。

と、彼女は踵で砂地に、なにやら円のようなものを描く。

円の中に様々な記号を書き込むと、彼女はその中心に踵を乗せる。

そして―――

「出ろ」

拒否すらさせぬ、問答無用な一言。

冷淡に言い放ち、踵でサク、と円の中心を潰す。

途端

岩が隆起するような激しい音と共に、徐々に大きくなっていった骸たちの行軍の

音が、途絶えた。

音が全く聞こえなくなったのを見届けて、彼女は胸ポケットから一本のタバコを

取り出し、火をつける。

「あぁ、実にあっけないものだ。私はここから動けないし、向こう側にしてみても動くことすら出来ずにただ沈むのを見るだけだという。まったく、本当にあっけない。こんなこと、美味いタバコでも吸っていないとやってられないな」

吐き出される白い息が、夜風に紛れて空へと消えていく。

さて、と彼女は

「アリアンに行った奴は、間に合ったのかね」

タバコを口にくわえながら、そう呟いた。

視界の隅で動けずにいる骸を見ずに、彼女は北東を見つめる。

視界の幅に入りきらないほどの骸たちは、皆下半身がなにやら透明なものに包まれていた。




























同時刻。

遠くでは爆雷が鳴り響き、南方からは阿鼻叫喚すら聞こえてくる。

夜風で飛びそうになる帽子を片手で押さえつつ、彼は立ち尽くしていた。

アリアンを背に立つ彼の元にも、徐々にではあるが、足音が響き渡ってくる。

彼の耳は、もともと視覚では確認できない敵の位置を割り出すものであったが

ここに来て、その能力に若干、彼は苦々しく舌打ちした。

「まったく、姐御にも困ったものだ」

不満そのものの言葉はしかし、満更でもないような、穏やかなものだった。

彼がこの場にいるのは、彼女にとあることを依頼されたからだ。

『人手が不足していてな。お前一人ならば十分だし、なにより、おまえにとっても悪い話ではないように思うが?』

事情を聞いた彼女は、実は、と前置きした後、彼にそう言った。

あの晩、親友を見捨てた彼は、静かに思案する。

自分は、奴を一方的に切り離しすぎた。

奴の選択が、あまりにも残酷すぎて。

その選択の背後に、とてつもない苦悩があった事実を見過ごして。

『・・・お前とはここまでだな。あばよ、アルタ』

なぜ、崩れ落ちそうになる奴を支えてやれなかったのか。

そんなこと、既に分かりきっている。

奴に全てを背負わせて、自分だけ楽になろうとしていた。

背負うべき重荷を放棄して、自分は奴を一方的に拒絶しただけなんだ。

しかしそんな重荷すら、奴は一人で背負った。

そして、今は遠いあの塔の頂上で、彼女と・・・。

そんな自分は、もう奴等とは関わりあう事は出来ない。

自身に対するやり場の無い怒りだけが、頭に重く圧し掛かる。

そんな時に、彼女と再会した。

そして



静かに、閉じた瞳を開く。

目前には既に、街に攻め込む骸どもの群れ。

最前線にいる奴らは遠目ながら立ち止まり、俺を見ている。

障害となるには、あまりにも少ない人数。

「・・・お前らが何者かなんていうのは、この際どうでもいい」

突然発せられた冷たい声に、骸たちが一瞬怯む。

本来ならば、骸たちは立ち尽くす青年など無視して、街へ雪崩れ込むはずだった。

だが、この青年から発せられる明らかな敵意に、誰も前へ進むことが出来なかった。

「お前らの成そうとしている事、俺の成そうとしている事。相反していて話し合いも出来なければ、後は、わかっているだろう・・・?」

骸に向けられる殺意が、徐々に大きくなっていく。

骸たちの間に、初めて感情のようなものが芽生え始める。

理由は二つ。

一つは街へ攻め込むため。

ここで協力していかねば、という危機感が生じたためである。

そしてもう一つの理由、それは―――

「さぁ、始めよう。どちらが正義でどちらが悪かなんて問いただすつもりは無い。だが、もし戦うと言うのであれば、相当の覚悟を持って来るがいい!」

生まれてより初めて生じた恐怖のため。

骸どもは団結して、青年一人に対し、数を頼りに殺到する!

殺到し、押し寄せる骸どもに青年は口元を緩めると

「ダーティーフィーバー!<穢れし血の狂乱!>」

青年は両の手に投具を携え、骸の群れに突進する。

その深紅の瞳で視るがいい、恐怖の具現。

自身が恐怖の具現であるならば、目前の青年は死の具現。

たなびく黒い外套が、逃れようの無い死を運ぶ。

恐怖や怨嗟など、所詮は死を彩るものでしかない。

だが、目前のそれは結末としての死。

1があり、終わりとしての、0としての存在であることを!

優雅にたなびく外套が、骸たちの間を縫うように進む。

ただ、この時においても、彼は思う。

許してくれとは言わない。

ただ、奴が目標に向けてなんらブレることのないように。

だから、と彼は集中していたさなか、一言

「だから、ここは任せろ、アルタ!」

骸どもの叫びに混じって、一人、決意の咆哮を上げる。

阿鼻叫喚は、さらに混迷を極めていくことだろう。
















これにて幕間は閉幕。

塔にいる彼に、彼らの想いが伝わったかは、定かではない。

けれど、今宵集まった者たちは

ただ、自身の想いにより、各地で奮起する。



そして、塔では―――
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あれ?途中の人物は・・・・

そういえば
本編と前説(?)の間をちょっと開けて欲しいかな~
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>あれ?途中の人物は・・・・
そこは次回に明らかになります。
決してミスしたわけではないです、断じて(笑)
あとがきが前に来てるやつと本編、もうちょっと開けておきますね。
ティルナ | URL | 2008/06/19/Thu 16:10 [EDIT]

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