趣味に生きる

紫鯖で活動してい『た』、とあるランサーの日記。

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(*´・ω・`*)ドキドキ
ハクロン | URL | 2008/06/12/Thu 12:35 [EDIT]

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第十八夜 ”悪魔たちの讃歌”

小説っぽい読み物 2008/0611 Wed 23:22:46
長らくお待たせして本当にすいませんでした・・・(泣)

どうも、こんばんはティルナです (;・∀・)


リアでやることが次々に出来てしまいまして。。。

小説も残り数回と言うのにこの忙しさ・・・一体どうなる、狂月。

予定としては残り2回の更新をした後、オールスター戦について色々書いていこうと

思っています。

ま、まぁ・・・書く時間を確保して・・・ね、ちゃんと書きますから・・・ね?

とりあえず、今までの鬱憤を晴らすかのように、読んでやってください。

それでは、本編をお楽しみください m<_ _>m
「ん・・・」

窓から差し込む光で、目が覚める。

眠いまぶたをこすって周囲を見渡すと、そこは自室ではなく廊下だった。

床には壁にかけてあったはずの、安物の絵画が落ちている。

・・・どうやら、あの後そのまま眠ってしまっていたらしい。

「あいたたた・・・」

無理な姿勢で眠っていた身体を起こす。

首や肩を回しながらリビングの時計を確認すると

時刻は既に11時を回ろうとしているところだった。

「随分寝てたんだな・・・」

自分で言った言葉に、それもそうか、と自答する。

ルティやルイとの別れ、ローザさんの行方不明。

昨夜から立て続けに起こった出来事は、ここ数年での出来事を遥かに凌駕している。

しかし、それも今日で終わる。

・・・いや、終わらせなければならない。

そう

例えそれが、とても悲しいことだとしても―――









「・・・さて」

一人で早めの昼食を終えた後、諸々の作業をする。

今月に入ってからの収入と支出は、例年通りだった。

ただ・・・

「修理費数十万、か・・・。何ヶ月か節食しないとなぁ・・・」

家計簿に綴られるゼロの数に、先のことを思うと溜め息が出る。

「まぁ、仕方ないか」

少々の不安と共に家計簿をパタンと閉じ、本棚へとしまう。

ふと時計に目をやると、時計の針は午後5時を指そうとしていた。

それを見て何を言うでもなく、俺は席を立って自室へ向かった。






「・・・これでいいか」

自室に入ってしばらく経った後、そう一人ごちた。

全身を鎧で武装し鎧から顔だけ出ている姿は、毎度の事ながら、なんだか滑稽だ。

カバンには出来うる限りの物資を積み込んだが、使うのはごく一部だろう。

換えの装備も念のため入れてあるが、使う機会があるかどうかは予測の域を出ない。

カバンのほとんどは、治療系のもので一杯になっている。

と、改めてカバンの中身を吟味していると、使われていないような、単に気付いて

いなかったような、そんな一角があることに気付いた。

いや・・・意識していなかった、と言うべきだろうか。

なんだか不吉なもののように感じて、その部分には今まで触れていなかったのである。

「・・・ここに何を入れてたんだっけ」

ふと意識をその一角に向ける。

途端

「ッ――!」

昼食べたものを戻しかねないほどの、激しい吐き気と眩暈に襲われた。

視界は灰色の砂嵐が舞うような、不鮮明さを訴える。

慌てて意識を逸らす。

意識を外にずらした後も、しばらく意識が朦朧としていた。

額には脂汗をにじませ、吐き出される呼吸も早く、浅い。

まるで、自身がそれを拒絶しているような、明らかな嫌悪感。

しかし、そんな嫌悪感を抱く理由など、俺の記憶には無かった。

一体何なのだろうと思うも、再びあの吐き気と眩暈に襲われることも

あると思うと、あまり気乗りしない。

仕方ないので、それ以上深く考えるのも止めることにした。

「まぁ・・・そこが使えなくとも問題ないけど」

事実、持っていくべきものはほとんどカバンに収容できている。

「・・・よし、行くか」

最後のチェックも済ませ、部屋を後にする。

自室の扉の向かい側、今はいない彼女の部屋の扉が見えた。

が、少し見てすぐに視線を階段に戻した。

階段を下りる際、一度だけ振り返る。

恐らく、もう二度とここに帰っては来れない。

そんな漠然とした予感があったからだろう。

いつも見てきたこの日常の一場面を、心に焼き付けた。

階段を下りて、リビングの入り口を横切る。

「じゃぁ、ちょっと行って来る」

誰もいないリビングにそう言って、俺は宿を後にした。

リビングからは、何の返事も返ってこなかった。














『明日、アリアン東部に塔が建つと思うわ』

ルティの言葉を思い出す。

彼女は、そこで待っている。

約束を果たすため、俺は人で賑わう古都の石畳の上を、歩き出した。

夕陽に照らされる古都は、穏やかなものだった。

買い物客で往来する大通り、準備をする飲食店、家々にも灯りが灯り始めている。

目の前の事実と、世界が滅ぼされようとしている事実に、どちらが本当なのか混乱する。

いや・・・単に信じたくないだけなのだろう。

この土壇場に来て、俺はいまだに甘い幻想を捨てれずにいる。

それでも・・・出来れば目の前のこの現実が、そのまま真実であってほしい。

自身もこの買い物客に紛れ、夕飯の材料の買出しをしていてもいい。

ここ数年の付き合いで、2人の好みは把握している。

そうだ、今夜は2人の好きなあの料理にしよう。

飲み物もちょっと高い酒にすれば、盛り上がることこの上ない。

そこまで考えて

「何考えてんのかな、俺は・・・」

喧騒漂う道の真ん中で、静かにそう呟いた。




「すいません、アリアンまでお願いします」

テレポーターに料金を渡しながら、そう言った。

「わかりました。しかし、今のアリアンは何か不吉な雰囲気に包まれています。お気をつけて」

テレポーターから伝えられたことに、嫌と言うほど心当たりがあった。

まるで、悪いことをして逃げた後、その内容が一人歩きするような、そんな感じだ。

では、行きますよというテレポーターの言葉で、思案していた意識が現実に引き戻される。

と、気付いたときには既に視界はアリアンの街並みを捉えていた。

古都とは違う石畳。

独特な石像もちらほらと見受けられるこの街は、古都とは違う活気に包まれている。

しかし夜が近い今、その活気も身を潜めつつある。

高い建物があまり無いためか、開けた空に星空が見え始める。

そして

「・・・紅い」

一言、感想をもらす。

思わず出たその対象は、月だった。

煌々と照らしていたあの夜の蒼い満月とは違う、同じものとは思えない紅い満月。

黒い闇に穿たれたそれは、地下界か、あるいは別世界との門のようにも見えた。

視線を前に戻す。

今は感傷に浸っている場合では無い。

街の外へ出るため、広場から移動する。

中央のオアシスから南側を迂回し、鍛冶屋の前を通り過ぎる。

街の喧騒はもはや遠く、目前は無理やり作られた道と砂のみ。

ここからはもう、後戻り出来ない。

街と外を区切る門の下

「・・・行くか」

覚悟を決めて、俺は砂漠の道を歩き出した。














砂漠の道中は夜ということもあり、とても寒かった。

持ってきた防寒具に身を包み、道なき道を進んでいく。

途中で砂嵐にやや目を細めつつも、確実に東へと進路を取っていく。

一際大きな岩を南に見たとき、見覚えのある巨大な丘が視界の奥深くにそびえていた。

ここには過去に複数回、来たことがあった。

記憶が確かならば、あの丘の麓には無数の墓があったはずだ。

傭兵たちが死んだ後、葬られると言われる墓。

それらにはちゃんと整備された墓もあれば、粗末な小さな墓もある。

しかし、どの墓にも共通していることがあるとすれば、それは生者に対する怨嗟だろう。

生に対する底無しの執着。

生に対する明らかな嫉妬。

それらは禍々しさを伴って、生ける者の命を掠め取ろうと動き出す。

「最後の舞台にはもってこい、か」

遠くの墓々を眺めながら、そう呟いた。









夜風が激しくなり、視界はますます悪くなっていく。

吹き荒れる砂嵐は呼吸ですらも、難しくさせる。

アリアンでは開けていた空も、ここではまるでナイフで切り取られたかのような、とても

小さなものになっている。

と、吹き荒ぶ砂嵐の向こう。

何やら細く、高い建物のようなものが見えた。

遠めで見ても、その建物はかなり高いことが窺える。

しかし

「あんな建物、以前に見たことは無かったな・・・もしかして、あれが・・・」

そんな疑問は、建物に近づくにつれ確信へと変わっていく。

夜風が止み、砂嵐が収まった先に見えたもの。

それは、頂上すらも見えないほどの、高い、とても高い塔だった。

胴体もそれなりに太く、でかい。

スウェブタワーでもかくや、と言わんばかりの塔が、墓を見下ろせる丘に悠々と

そびえ立っていた。

塔の側面は、見たことも無いような茶褐色のレンガのような物で作られている。

一見すれば只のレンガのように見えるが、硬度はレンガなどの比ではない。

剣を思いっきり叩きつけて、やっと少し割れるくらいだろうか。

外壁の硬さもさることながら、奥行きもかなりある。

塔の外観から中を推察しつつ、入り口を探す。

西側からは見えなかったので、ぐるりと一周するかのように、塔に沿って歩く。

西側に無いなら、東側かと思っていると、はたして、入り口がそこにあった。

それはまるで卵のような形をした、少々縦長い円形を呈している。

重々しい金属の取っ手と、頑丈そうな木の扉が、ただそれだけの物なのに、何か

威圧感を感じさせた。

取っ手に手をかける。

と、手をかける前に自然と扉が開いた。

ゆっくりと開いたそれは、人一人分ほど開いた後、停止した。

それはどこか、誘っているようにも見えた。

誘っている本人は言うまでも無く、分かっている。

「あぁ、わかってる」

開かれる扉にそう返答して

俺は中へと入っていった。

砂塵を巻き上げていた風はもはや無く、初めから無かったかのように、ただ

静けさのみを称えていた。















中に入ると、意外とすぐ目前は行き止まりだった。

数キロはあると思われた奥行きは、数メートル先の壁で打ち切られていた。

そして

「・・・魔法陣?」

床に描かれた見慣れぬものに、そう声を漏らした。

茶褐色の床には何やら、赤い色で描かれた魔法陣が見受けられる。

恐らく、この先に―――

魔法陣に足を踏み入れる。

人が入ると反応するのか、一瞬だけ白く点滅したかと思うと

俺の身体は何処かへと、運ばれていった。

運ばれた先は、先ほどの空間とは対照的に、とても広けた場所だった。

必要最低限の柱が二列、等間隔で立っている以外、障害物は見受けられない。

暗いはずの室内は、開けた天井からの光により、隅々まで照らされている。

空が近いからだろうか。

あんなに小さかった紅い月が、大きく、視界一杯に捉えることが出来る。

手を伸ばせば届きそうな、紅い月。

その月を背景に、自分が立っている床から少し高い台座に佇んでいる人影が一つ。

「遅かったわね、待ちくたびれたわ」

その声は、いつも耳にしていた声に、よく似ていた。

「ルティ・・・」

「別れは済ませたかしら?」

台座から降りて近づきつつ、彼女はそう言った。

「あぁ」

怒りで飛び掛りそうになる身体を必死に押し留め、一言返す。

「そう、ならいいわ。ローザとの戦闘でちょっと疲れてたから、代わりに出てもらってたんだけど。人間としての最後の時間を過ごさせるなんて、私も優しくなったものね」

そこまで言って、彼女は忍び笑った。

「ローザさんと戦っただと・・・?」

ずっと探していた人物の名が、彼女の口から紡がれた。

それが指す意味を、俺は聞かずにはいられなかった。

「えぇ、そうよ。この地上を手に入れるためには、彼女の存在は邪魔だった。まぁ、彼女は例えこの地上に危機が訪れたとしても、自身から動くことは無かったでしょうけどね。出会ってしまったからには、戦うのも運命だったと言えるわ。私と彼女は戦った、そして―」

そこで一旦区切ると、彼女は真っ直ぐに俺を見据え

「彼女は、死んだわ」

穏やかに、そう告げた。

「・・・」

告げられた事実が一瞬、俺から微かに残っていた理性を奪いかけた。

爆ぜんばかりの身体を抑え、彼女に向き直る。

そんな俺の姿を眺めつつ、彼女は

「まぁ、そんなことはどうでもいいわ。本当なら、今日で決着をつけようと思ってたんだけど、予期せぬ邪魔が入って萎えちゃった。悪いんだけど、今日はこれでお邪魔するわ」

静かな笑みで彼女はそう言うと、目前の空間に手をかざす。

「あぁ、そうだ。ついでだし、この人を連れて帰っておいてくれない?きっと、あなたにも全く無関係、というわけではないわ」

彼女が言い終わるのと同時に、床に蹲って倒れている、一人の人物が現れた。

恐らく、魔力で別の場所へ隔離していたのだろう。

それにしても・・・倒れ伏す人物の全身は傷だらけで、見るに耐えないものだった。

着ている服はズタズタで、僅かに見える腕や首筋でさえ、傷跡が見える。

その傷だらけの人物に、俺はどこか見覚えがあった。

服装は濃い緑、ロングコート、だろうか。

長い髪が顔を覆い、表情までは見て取れない。

いや

ロングコート?長い、髪・・・?

まさか・・・

「ヴォルター・・・さん?」

思い当たった名前を口にすると、ピクリと僅かに、倒れていた人物が動いた。

顔は、こちらを向くことは無かった。

ただ、反応しただけ。

しかし、確信を得るには十分だった。

倒れている人物の反応に、彼女は

「なんだ、まだ生きてたんだ。意外としぶといのね」

平然と、表情を変えるでもなくそう言った。

「貴様・・・!」

「焦らないでよ。あなたとの舞台はちゃんと用意すると言ったでしょう?今日は残念ながらここまでよ」

慇懃に言うと、彼女は高笑いをしながら、闇へと消えていった。

気配が、完全に途絶える。

それがわかると、俺はすぐにヴォルターさんのもとへ駆けつけた。

背に手を回し、抱きかかえるようにして、上半身を起こす。

「ヴォルターさん!大丈夫ですか!」

必死の呼びかけに、ヴォルターさんが顔を起こそうと動く。

が、やはりその動きは弱りきっている。

それでも、ヴォルターさんは口を精一杯動かし始めた。

「アル、タさん・・・ですか」

虚ろな意識ながらも、ヴォルターさんはこちらの問いかけに応じる。

「はい、俺です!待っててください・・・!すぐに街まで連れて行きますから・・・」

「待ってください」

身体を起こそうとしたとき、ヴォルターさんはそれを拒絶した。

「なぜ私がここにいるのかも含めて、全て、お話しします・・・。話す程度の体力ならば、まだ残ってますから・・・」

そう言うと、ヴォルターさんはゆっくりと、語り始めた。

「彼女が、ルティさんが身体を奪われることは、早くから、予測できていました・・・。以前、冒険者の魔力のサンプルのために、血液を少々頂いた時に、彼女の素質の高さ、そして憑依されるであろう可能性に、私は気付いていたのです・・・」

そこまで言うと、ヴォルターさんは一度咳き込んだ。

一刻も早く街に連れて行きたかったのだが、ヴォルターさんはそれを拒否した。

まるで、俺にだけ聞かせたいことがあるかのように。

「彼女の生まれについて、何かご存知ですか?」

ヴォルターさんの真剣な眼差しに、俺は答えざるを得なかった。

ルティの生まれた村が、『悪魔たちの村』と言われていたこと。

その村が、悪魔と人間によって滅ぼされたこと。

彼らの襲撃により死んでしまった父親の仇をとるために、彼女は旅をしていたこと。

知りうる限りのことを、ヴォルターさんに話した。

「そこまでご存知ならば、単刀直入に言いましょう・・・」

何か覚悟を決めたような表情をすると、ヴォルターさんは

「彼女の村を焼き払うよう、悪魔に指示を出したのは、私です」

「え・・・・・・?」

言っていることが、全く理解できなかった。

ヴォルターさんが、ルティの村を焼き払った・・・?

つまり、それは・・・

混乱している俺を見て、ヴォルターさんは話を続ける。

「私は、自身の研究の末、悪魔が再びこの世に現れる可能性を見出していました。そしてその条件に、依代が必要であることも・・・。私は、悪魔が再来する危機を回避するために、依代、すなわち器を破壊することを心に決めたのです・・・。そして、探し出した村こそが、ルティさんの暮らしていた村だったのです」

まるで熱にうなされるように、ヴォルターさんは話し続けた。

「彼女の暮らしていた村もまた、特異なものでした・・・。そこで暮らす人々の誰もが、皆何らかの異なる血を内包していたのです・・・。その中から器を探し出すための時間は、あまりに短いものでした。ゆえに・・・苦渋の決断ながら、私は村を焼き払うことにしたのです・・・。その時に使役していたのが、ルティさんが倒したという悪魔だったのは、言うまでもありません。村人に逃げられては、もし万が一その人物が器だった場合、取り返しのつかないことになってしまいますから・・・」

ですが、とヴォルターさんは罪を告白するように、言った。

「結果として、私の試みは失敗に終わってしまいました・・・。村外れの森に、恐らく結界が施されていたのでしょう・・・。彼女の存在に気付かなかったばかりか、彼女から大切なものまで奪ってしまったのですから・・・。こうなることは、覚悟していました・・・」

「じゃぁ・・・ここに来たのも・・・」

「はい・・・。彼女を止めに来たのです。あなたが持ってきてくれた日記のおかげで、私は確信を得ました。そして、出来ることなら誰にも悟らせず、秘密裏に決着をつけようと・・・。ローザさんと情報を交換していたので、いずれあなた達が日記を持ってくることも、わかっていました・・・。騙すようなマネをしてしまい、申し訳ありませんでした・・・」

「ちょっと待ってください。ローザさんが、なぜあなたと情報の交換を?」

「私が本来していたことを思い出してください・・・。悪魔を研究していく上で、悪魔のことは人や書物ではなく、悪魔本人に聞いたほうが良い。そう考えた私は、当時スマグに短期間所属していたローザさんに、話を伺っていたのです。当時の私は、まだスマグなどに所属しておらず、単独で研究をしていましたから・・・。もっとも、彼女が悪魔であることに気付いたのは、彼女のもとに通い始めてから、しばらくしてでしたが・・・」

そこまで言うと、ヴォルターさんは深く息を吸い込むと

「とにかく、事態は最悪な様相を呈し始めています・・・。覚醒した彼女は自身の魔力を以って、私たちの暮らしている世界を必ず奪いに来ます・・・」

時間がありません、とヴォルターさんは切羽詰った様子で、そう言った。

そして

「私から言えることは、これで全てです・・・」

「・・・」

何も、言えなかった。

ヴォルターさんがルティの仇であることにも。

ヴォルターさんがしようとしたことに対しても。

何も・・・。














その後、ヴォルターさんに肩を貸しながら、アリアンの街へと戻った。

ヴォルターさんをすぐに街の医者に見せると、彼はそのまま入院することとなった。

俺はと言うと、その日はもう既に遅かったので、アリアンの宿に泊まることにした。

明日の夜、再びあの塔へ行くことを誓って。

用意されたベッドに横たわる。

『そこで、待ってるからね』

去り際に、彼女が言った一言を思い出す。

ヴォルターさんがルティの仇だろうと、もはやそんなことはどうでもいい。

ただ、約束を果たすために、俺は・・・。

「あぁ、必ず・・・」

彼女の声に静かにそう返して、俺は深い眠りへと落ちていった。

夜空には、紅い月が世界を照らしていた。

血を思わせる、不吉な予感を漂わせて。
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