趣味に生きる

紫鯖で活動してい『た』、とあるランサーの日記。

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第十二夜 ”凶ツ夜・前奏”

小説っぽい読み物 2008/0502 Fri 21:42:42
不覚にも風邪をひきました。

こんばんは、作者です il||li _| ̄|○ il||li

執筆に影響が出ないよう、頑張ります・・・

さて、今回、大きく話が動きます。

え?!こんなに動くの?! みたいな感じです。

物語りもそろそろ終盤、ということでしょうか。

それでは、本編をお楽しみください m<_ _>m
「お待たせしました。解読のほう、終わりましたよ」

そう言って部屋から出てきたヴォルターさんは、解読し終わった紙を俺に渡した。

「それと、大変申し訳無いのですが、急遽用事が出来てしまいましたので、これにて失礼したいと思います。あ、鍵は開けたままでもよいので、読み終わりましたら、そのまま出て行かれて結構ですよ」

「わかりました。なんだか無理をさせてしまったみたいで、申し訳ないです」

ヴォルターさんから束ねられた紙を受け取りつつ、感謝と謝罪を述べた。

「いえいえ、では、これにて」

軽く礼をすると、ヴォルターさんは廊下をやや早足で駆けて行った。

「あれだけ急ぐとなると、やっぱり無理をさせちゃったかなぁ・・・」

遠ざかる背を眺めながら、そんなことを呟いた。

主がいなくなった部屋へと入る。

部屋の中央には、相変わらず背がやや低いテーブル。

その上には、おそらくヴォルターさんが使うであろう書類が散らばっている。

そのテーブルを挟む形で置かれている、部屋の入り口側のソファーに座る。

今、ここには俺1人しかいない。

ルティとルイは、今は宿で休んでいるはずだ。

昨夜のことを、思い出す。

任務から戻ってきた2人は、傷だらけだった。

特に酷かったのがルティで、頭と片目に包帯を巻き、体中には火傷の跡も見受けられた。

双方共に精神的にもやや疲れが見えていたので、深くは追求せず、後日話を聞くということで

その日はお開きとなったのだった。

「さて・・・」

パラリ、と束ねられた書類をめくる。

所々で単語の訳などが注釈で付いてる部分は飛ばし、訳された本文のみを見る。

この様子だと、ヴォルターさんがかなり急いでいたことが改めて感じられた。

今はいない部屋の主に、改めて心の中で感謝して、俺は日記を読み始めた。














”数日間の旅の後、古都ブルンネンシュティグに着いた”

”それにしても、でかい”

”私が今まで訪れたどんな街よりも、この街はでかかった”

”こんな大都市ならば、情報や物資には困らないだろう”

”しばらく、ここで暮らすことにしよう”

前回訳してもらったページと照らし合わせると

最後のページからずいぶん前に書かれたものみたいだ。

パラリ、とページをめくって、次の部分を読んだ。


”ここで暮らすこと数ヶ月、だいぶ長居してしまった・・・”

”見て回るべきところも見たし、そろそろ新しい街へ行くとしよう”

”大家さんに、明日にでも挨拶でもしに行くか”

パラリ、と3枚目を読む。


”お世話になった古都を後にして、今は数ヶ月ぶりの野宿を楽しんでいる”

”テントを張るのも、火をおこすのも、本当に久しぶりだ”

”そして、なによりも、夜空が綺麗だ”

”こればかりは古都では見られなかったので、無償に嬉しくなった”

”地図によれば、明日にでも村へ行けるだろう”

”楽しみでしょうがないので、今日はもう寝ることにしよう”



4枚目をめくる。

”数日間歩き続け、ようやく村に着いた”

”古都ほどの規模では無いものの、冒険者もそれなりに見受けられる”

”都会の喧騒を離れ、こういった静かな場所もまたいいものだ”

”しばらくは、この村に滞在するとしよう”


今回の断片はよほど長かったのか、ページにはまだ続きがあるようだ。

5枚目をめくる。

”村に着てから数日経ったある日”

”たまたま酒場で居合わせた女の子と意気投合してしまった”

”聞けば、彼女は一ヶ月くらいも前からこうして冒険者に声をかけていたらしい”

”理由を尋ねてみると、どうやら復讐のために戦う術を学びたいとか”

”村を焼かれ、父を殺された、とその少女は言っていた”

”なんだかなぁ・・・他人の気がしない、というより、昔の私そのままだ”

”違うところは殺されたのが両親か父かというだけなのだが、そんなことはどうでもいい”

”ここで会ったのも何かの縁と思い、戦い方を教えてやることにした”

”まぁ、なによりも決定的だったのが、あの復讐を誓った眼だったわけだけど・・・”

”あの眼がある限り、そう簡単に音を上げたりはしないだろう”

”だって、私もそうだったんだから。”

”しごき甲斐のある弟子も出来たことだし、明日からの修行が楽しみだ”

”明日のために、今夜はもう寝ることにしよう”


「・・・え?」

5枚目を読み終えたところで、なんだか、良く似た話をどこかで聞いたことがある気がした。

そう、聞いたことがあるということは、それは口頭によるものであって

こうして文章で読んだものではない、ということだ。

一体どこで・・・

思考を巡らせつつ、6枚目に目を通す。

どうやらよほど修行にのめり込んでいたらしく、日付もだいぶ進んでいる。

そしてそれは、この日記の、前回訳してもらった最終ページから

ほんの数日前のものだった。

”一応、教えてやれることは全部叩き込んでやった”

”我ながら、上手くやれたと思う”

”後は、全て彼女次第”

”でも、数年間しごいてやっても、やはりあの目は最初とちっとも変わらなかった”

”あれならば、大丈夫だろう”

”だが、驚くべきは彼女の素質、だろうか”

”私が苦労した槍術をわずか数年でものにした挙句、弓術もかじる程度に成長するとは”

”おまけに、彼女の魔力も、相当なものだ”

”悪魔の血を引いていると思われるが、別れてしまった今となっては、確認のしようも無い”

”ただ、彼女の身体能力とあの魔力は、悪魔たちからすれば格好の憑依対象だ”

”もっとも、そういった系統にある悪魔の数は、高が知れてるわけだけど・・・”

”まぁ、まさかあの悪魔が生きていて、この時代にいる、なんてことはないだろう”

”あの悪魔は、私があの時ちゃんと殺したのだから”

”悪魔を殺したがゆえに私はここに、いや、この時代に『飛ばされた』のだから”

”あいつ、交換条件とは言えこの時代に飛ばすなんて、本当に何考えてたんだろ”

”・・・あいつがいた時代を、少々思い返す”

”王様に会いに行ったときの周囲の視線は、嫌な意味で忘れられないだろうなぁ”

”まぁ、仕方ないと言えば仕方ないのだろうけど”

”まさか1人で、それも華奢な女に一体何が出来るのかといった雰囲気だったし・・・”

”この時代に来てから調べてみると、どうやらあの王様はあの後、改心していたらしい”

”それだけでも、悪魔を倒した甲斐があったというものだ”

”っと、話が取りとめもなくなってきたな(笑)”

”まぁ、とりあえず無事彼女は卒業したわけだし、私も明日から久々に自由だ”








束ねられた紙の、最後の1枚を読み終わると、アルタは駆け出していた。

その様子はひどく慌てており、表情は不安そのものだ。

何か、見てはいけないものを見てしまって、逃げ出したくなってしまっているようにも見える。

慌てて立ち上がったこともあり、床に書類がばら撒かれる。

それを片付ける素振りも見せず、アルタは扉から出て行った。

扉を閉めることもせず、徐々に駆けていく足音のみが、小さくなっていく。

と、宙に舞っていた書類の一枚が、床を滑るように飛んだ後、制止した。

その書類には

”よく数年間、頑張った。卒業おめでとう!    我が愛弟子、ルティ へ”

弟子に対する祝辞

そして

アルタが最も良く知る人物の名前が、そこには書かれていた。








---------------------------------------------------------------------

幾度と無く見てきた夢を、見ていた。

見飽きた、と言ってもいいと思えるそれはしかし、だいぶ様変わりしている。

色が、ある。

空にも、雲にも、大地にも、無限に広がる草原にも

視界で見える範囲全てに、色がある。

まぁ、相変わらず風は吹いているだけで、決して感じなかったけど・・・

夢の中にいる、ということもあるのだろう

ただ、何を考えるでもなく、ぼんやりと景色を眺める。

天気は晴天。

もし日差しの温かさを感じられれば、それはどれほど気持ちいいことだろう。

と、そんなことを考えていると、遠くから誰かが歩いてくるのが見受けられた。

今までは遠くのほうで立っているかどうかすら分からなかったが

色が付き、近づいてくる今、その姿をはっきりと目視することが出来る。

見ると、その人物は全身を覆う鎧で身を包んでいた。

この明るい草原において、その格好だけがひどく不自然だった。

さながら、緑色の下地に黒い点がついてるような、そんな感じ。

顔だけ出しているその人物は、速いのか遅いのかよく分からない速度で

けれど、確実に近づいてくる。

しかし、徐々に近づいてくる人物に、私はどこか見覚えがあった気がしてならなかった。

いや、見覚えがあるというより、あれは・・・

「よう、私」

いつの間に目前まで来ていたのだろう。

まるで昔から知っている馴染みに声をかけるような穏やかさで、その人物は言った。

そして、目の前に立ったその人物は、紛れも無く、私と同じ顔をしていた。

それにしても、「よう、私」とはどういうことなのだろう。

「驚いたか、まぁ、無理も無かろう」

声までそっくりな時点で、なんだか私は不安になった。

「あなたは・・・誰?」

「私は私、つまりはお前さ」

当然のように、目前に立つ私が答えた。

ますます訳が分からない。

目の前に立つこの人は、自分をルティだと言っている。

それがどういうことなのか考えようとした途端

「あぁ、ここまで来るまで長かった」

感嘆めいた言葉を、目の前に立つ私が言った。

その嬉々とした表情は、なにやら狂気じみたものを含んでいた。

「ここまで来るのに浪費した年月は、もはや数え切れないな。あの時、あの女にやられたのも誤算だったが、まさかここまで来るのにこんなにも年月を要したこともまた誤算だった。だが、それももうおしまいだ。」

まるで私が見えていないかのように、けれど目前の私は上機嫌で、私に語り続ける。

・・・なにやら、今回の夢は今まで以上に変だ。

色が付いて喜びまわる自分を見るのも、我が事ながら恥ずかしいような・・・。

「? 何を言う、これは夢などではないぞ。まぁ、夢と現実の中間地点とでも言うべきだろうが」

「夢じゃない? 眠っている間に見る幻想は総じて夢じゃな・・・」

夢じゃないか、と言いかけて、私の思考が凍りついた。

「あなた、何で私の心を読めたの」

危うく見落としそうになった事実を、相手に告げる。

それを聞いた相手は、自分でもしないような笑みを浮かべた後

「何を言うかと思えば・・・自分の考えていること、それも補助的部分の思考なぞ、読み取れて当然だろう」

と、理解に苦しむ回答をした。

私から返答が返ってこないのを訝しんだのか、目の前に立つ私が少々思案した。

やがて、おそらくこの人物なりの回答に行き着いたのだろう

「そうか、こいつは傑作だ! お前はまだ自身が置かれている状況が分かっていないのだな!」

そう笑いながら言った。

「・・・何がおかしい」

「いや、失礼。お前はここに来るごとに、私の言うことに反論していたのでな。てっきりこの事態をすでに把握してるのかと思ってしまっていた。が、まさか把握すらしてなかったとはな」

そう言って、目前に立つ私は、血を思わせる紅い瞳で、改めて私を見ながら

「では、逆に問うとしよう。今のお前の身体は、一体どうなっている?」

そんなわかりきったことを、聞いてきた。

突然、こいつは何を言い出すのだろう。

そんなの、いつもと変わらない。

あのモノトーンで着色された世界において

唯一色彩を持って、私が立って―――

そこまで考えて、私は驚きのあまり、頭が真っ白になっていた。

そこには、色なんてものは無かった。

自身の身体を覆う鎧も、腕や手の肌の色さえも

すべてがモノトーンで構成されていた。

見えないだろうけど、恐らく顔や髪も、モノトーンで着色されているだろう。

驚きの感情が伝わったのか

「そうだ、この世界において唯一『色が無いのはお前だけなんだよ』、ルティ」

静かな笑みを浮かべて、やつはそう言った。

「これからは、私が『お前だ』」

「待って! あなた、私に何をしたの?!」

向けられた背に、問いかける。

「ここまで言ってもまだわからぬとはな。いや、わかってしまいたくない、というべきか・・・」

簡単なことだ、と肩越しに振り返ったそいつは

「お前と私は、入れ替わったのさ。もっとも、入れ替わるまで時間はかかったが」

静かに、信じたくなかった答えを、やつは口にした。

もがこうと動き出そうとするが、身体が動かない。

「無駄だ、もはやこの身体は私の物だ。補助的思考に成り下がったお前では、もはやどうすることもできんさ」

それでももがこうとする私に、やつはトドメの一言を放った。

「お前はもう、用無しだ」

その場から、やつが歩き出す。

「待て・・・!」

来た時と同じように、やつの背中が徐々に遠ざかっていく。

やがて、姿すら見えなくなって、私の視界が暗く閉ざされていった。
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