趣味に生きる

紫鯖で活動してい『た』、とあるランサーの日記。

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第十一夜 ”衝動(後)”

小説っぽい読み物 2008/0428 Mon 20:41:35
こんばんは、作者です。

いよいよ物語りも佳境か? と思われる今日この頃・・・

そろそろオールスター戦も視野に入れないといけないし

色々大変だけど、頑張りたいと思います!

それでは、本編をお楽しみください m<_ _>m
深い闇が、辺りを包む。

地下ということもあるのだろう。

陽の光も届かないこともあり、その闇はなお暗さが増しているように見える。

闇を照らす光は、細い通路と部屋の一部に取り付けられた、燭台の蝋燭のみ。

風が滅多に吹かないこの地下において、炎はゆっくりと揺らめいている。

しかし、今宵の炎はよく揺らいでいる。

遠くのほうで生じた衝撃の波が、風となって通路を駆け巡っているからだろう。

近づけば近づくほど、その衝撃はでかくなっていく。

建物としても、フロアとしても最奥となる部屋から、衝撃が放たれているらしい。

室内では、巨大な瞳に1対の翼が付けられた怪物と、2人の人間が対峙していた。

2人の人間は、それぞれ男性と女性のようだ。

男性は斧状の投具を手にし、女性は自身の身長を越える槍を手にしている。

「・・・!」

男性が、石で出来た床を駆け出す。

それに合わせたかのように、女性もまた疾りだした。

目標は、目前にいる巨大な目玉。

2人の動きに合わせて、怪物もまたそれを迎え撃つため、魔法陣を瞳の前で展開する。

やがて、投具を投げるよりもやや早く完成された魔法陣から、複数の火球が飛び出した。

「・・・く!」

全てをかわしきれないと悟った男性は、即座に攻撃態勢を解き、脇へと跳ぶ。

瞬間、男性がいた場所に火球が直撃し、爆風と衝撃波が周囲を薙ぐ。

床には巨大な穴が穿たれ、なにやら焦げている音すらする。

しかし、躊躇している暇など無い。

脇に跳んだ男性は、再び目標に向けて疾駆した。



一方、男性の後方に続いていた女性が、目標へ肉薄する。

大きく振りかぶられたランスが、後は敵を薙ぎ払うのみだ、と言わんばかりに軋む。

「・・・もらった!」

頭上で槍を振りかぶりながら、女性は勝利を確信する。

攻撃の直後、それはもっとも最大の好機であることを、女性は知っていた。

火球を放った直後である今が、まさに好機。

女性は自身の最大の力を持って、槍を振りぬこうとする。

だが、魔法による硬直時間は短いのか、巨大な瞳が彼女を捉える。

巨大な瞳と女性の視線が、交錯する。

その瞬間

本日何度目になるであろう、対象の姿が忽然と彼女の視界から消える。

「く・・・また・・・!」

苦々しく言うものの、それでも勢いを緩めることも無く、女性はそのまま槍を振りぬいた。

金剛石をも両断しかねないほどの鋭い一撃はしかし、間一髪でかわされる。

明確に対象を捉えなければ、攻撃が当たらない。

一撃必殺の大振りは

裏を返せば当たらなければダメージを全く与えられないのと同義であった。

宙に回避した怪物は、再び瞳の目前で魔法陣を構築する。

その間、わずか数秒。

最大の好機が、女性にとって最大の危機へと変化する。

女性の瞳には、徐々に完成されていく魔法陣が映し出されていた。

逃げることは不可能と悟ったのか、女性は槍を構えなおし、その場に立ち尽くす。

刹那、完成された魔法陣から、先ほど男性に放たれた数と同じ火球が放たれた。

女性は表情を絶望に染めることなく、槍に魔力を込め、目前の火球を防ぎにかかる・・・!

自身に直接当たるもののみを、槍で防いでいく。

しかし、それで攻撃の全てを防御しきれるはずもない。

床に着弾した火球は、熱と床の破片を舞い上がらせ

槍に直撃した火球は、腕を折らんとする衝撃と火の粉を降り注がせる。

その衝撃と熱と破片を、女性は一身に受ける。

舞い上がった破片は、女性の頬に、額に傷をつけていく。

降り注ぐ火の粉は、わずかながら女性の肌を、髪を焼いていく。

「・・・ッ」

両手が塞がっていた女性は、思わず顔を振るう。

額に破片が当たり、流れた血が彼女の左目の視力を奪ったからである。

「(しばらく左目は使えないな)」

そのような状況になっても、女性は動じることなく、冷静に対処する。

しかし、状況は刻一刻と悪化の一途を辿っていた。



女性への攻撃が終える前に、男性は既に投具を投げる態勢に入っていた。

目標までやや距離があるが、投具の速度がその不利を軽く凌駕してくれるに違いない。

「・・・くらえ!」

この一撃さえあたれば、唯一にして絶対の突破口になる。

男性は渾身の思いを込めて、腕を振りぬいた。

小型の斧が、空間を断絶していく。

空気さえ切り裂くほどの速度を持った斧が、怪物へ直進していく。

しかし巨大な翼は、えてして強力な加速装置になりうることを、男性は見落としていた。

小型の斧が近づくことに感づいた怪物は、巨大な翼を翻し、回避を試みる。

一際大きく翼が広げられ、斧が回避される。

だが、虚を突かれたこともあったのか、斧がかすかに翼に当たる。

致命傷に至らなかったものの、ようやくダメージを与えることに、男性は成功した。

けれどそれは、その怪物の怒りを買うことも、意味していた。

巨大な瞳が、男性を捉える。

それが何を意味しているのかは、男性もよく知っていた。

魔法陣が、展開される。

先ほど攻撃されたことを思い出し、即座に回避するため、走り出す。

構築された魔法陣から、男性が想像した通り、複数の火球が射出されていた。

男性が走っていく道筋を辿るかのように、火球が穴を穿っていく。

なるべく女性を巻き込まぬよう、道を模索しながら回避に専念する。

怪物はよほど男性の攻撃に激怒したのか、男性にのみ狙いを定める。

けれども、女性への警戒を全く緩めているわけでも無かった。

事実、怪物は槍で攻撃するにはやや地上から離れた空中から、男性を攻撃している。

たとえ神速を伴って彼女が槍で斬りかかって行ったとしても、かわされるだろう。

地上から怪物までの距離は、それほどまでに高いものであった。

さらに、女性の片目は今は使い物にならなくなっている。

正確な距離感が掴めないまま攻撃を行ったところで

却って反撃される可能性のほうが高い。

投具による攻撃も可能であったが、それも連続する攻撃により封じられている。

それは端的に見て、万事休すと言わざるを得ない状況だった。

攻撃を回避し続けるには、男性の体力はあまりにも少なすぎた。

穴が穿たれ、足場を選びながらの逃避は、男性から集中力と体力を容赦なく奪っていく。

それでも、男性は逃避する。

逃げて、逃げて、逃げ延びて、反撃する機会を窺う。

だが、そんな思惑も虚しく、男性の姿勢が突然、ぐらついた。

火球により穿たれ、残骸と化した小石が、あろうことか男性の足を滑らせた。

「・・・やべ・・・!」

さすがの男性も、焦りの色を隠せない。

態勢をすぐに立て直すも

見上げた目前では既に、火球が発射される寸前の魔法陣が―――

「ミラーメラーミスト”鏡映せし幻惑の傀儡”」

突如、凛とした声があたりに響き渡る。

と、男性の周囲になにやら霧のようなものが発生し、辺りを包む。

それに別段脅威を感じることも無いのか、巨大な瞳の目前から、火球が放たれる。

放たれた火球は男性を確実に捉えようとし

男性を庇うように突如として現れた槍に、全て塞がれた。

「!」

驚きは、はたしてどちらのものだっただろうか。

男性が死ぬという結末を、たかが一本の槍で阻止された。

そんなことなどあるか、と

再度巨大な瞳は魔法陣を築き、火球を放つ。

だが、何度放とうとも、火球は全て槍に防御される。

まるで、意志を持つかのような錯覚を覚えるほど、槍の防御は鮮やかだった。

「ルティ!」

男性は自身の危機を救った仲間に、視線を送る。

その先には

ルティと呼ばれた女性が両目を閉じたまま、立ち尽くしていた。

その左手には、女性の胴体分の長さはあろう弓が握られている。

戦闘用に洗練されたフォルムを持つ弓は

燭台の蝋燭の光に当てられ、鈍く輝いていた。

女性は男性の声など聞こえていない様子で、ただ、握った右手の拳を胸に当てていた。

瞑想

アーチャーである彼女は、心の眼で敵を捉える。

その尋常を逸した気配を察したのか、巨大な瞳が彼女の方に振り向く。

やがて、静かに右目を開けた彼女は、巨大な瞳に焦点を当てながら、背中の矢立から

複数の矢を弓につがえた。

巨大な瞳は、男性よりも彼女を始末することを優先したのか、魔法陣を築きだす。

だが、遅い。

複数の矢をつがえた弓の弦は限界まで張りつめ

いつ発射されてもおかしく無い状態だった。

「ビット―”収束する―”」

静かに、女性が技名を口にする。

その言葉に込められた殺意が自分に向けられていると感じたのだろう。

怪物は一瞬、魔法陣の構築を忘れてしまうほどに、戦慄した。

慌てて回避しようと翼を広げる。

本能が『逃げろ』と告げている。

翼の加速装置と瞳の魔力に、全神経を集中する。

怪物が大きく羽ばく。

同時に、女性は大きく右目を開き、つがえていた矢を空間へ放つ・・・!

「―グライダー!”―軌跡の魔弾!”」

限界まで張り詰められた弦から、勢い良く矢が打ち出される。

打ち出されたそれぞれの矢は、怪物から大きく逸れたかと思われた瞬間

まるで磁力で引き寄せられるかの如く、矢が怪物という一点に向かって収束する!

「!」

自身に迫る矢を巨大な瞳で見つめながら、怪物は回避する術を探っていく。

1秒にも満たない時間の中で、怪物はもはや本能による回避に賭けるしかなかった。

そして、運命の瞬間。

一点に矢が集中し、その瞳に突き刺さるか否かの瀬戸際

怪物はこれでもかと限界まで羽ばたき、まさに紙一重で矢を回避した。

それは、必死の者が見せる『ありえない動き』だった。

後はこのまま魔法陣を築き上げ、弓兵もろとも焼き払おう。

巨大な瞳は、目前で火球を放つための魔法陣を描き出す。




だが知るがいい、空を駆ける者よ。

紙一重の回避など、彼女が放った矢に対して無力であることを。

そちらが風であるのならば、こちらの矢は風に乗る鷹。

鷹の目は風の軌道すらも読み取り、再び翻るということを・・・!

後逸されたはずの矢が、軌道を変えて瞳へと収束する。

魔法陣に意識をずらしたことが災いしたのか

巨大な瞳は再び回避しようと翼を広げ

全身で矢を浴びることとなった。

都合一分。

鷹が捕食対象を捕らえるかの如く、決着もまたあっけないほど早かった。














「・・・ふぅ」

動かなくなった敵を見て、肩で大きく息をした。

「ルティ!」

床が一際大きく荒れている地点から、ルイが自分を呼んだ。

何も言わず、彼の元へと歩いていく。

片目はつぶったままだったので、途中でつまづきかけるものの、何とか進んでいく。

「大丈夫だった?」

「馬鹿、俺よりもお前の方が重傷だろうが、無茶しやがって・・・」

そこまで言って、彼は私から顔を逸らし

「その、サンキュな」

頬をかきながら、そう言った。

「どういたしまして」

彼の感謝に、少々の笑顔でお決まりの返事を返した。

「とりあえずルティはここで待ってろ。宝箱は俺が探してくるから」

そう告げて、彼は怪物の死骸へと走っていった。

ルイの申し出は、正直体力的に厳しかった自分にとって、嬉しかった。

お言葉に甘えて、その場に座る。

「あいつつ・・・片目はもうしばらく待つしかないか・・・」

左目を開けようとするも、激痛が走って開きそうに無かった。

血を拭った左手を、右目で見つめる。

「結構血が出たなぁ・・・」

意外な出血量に半ば呆れていた途端

ドクン

「・・・え?」

心臓が大きく脈打つ。

大きく鳴り続ける鼓動音は、上限など知らないかのように高揚していく。

「・・・ちょっと・・・」

途端に苦しくなる。

右手で心臓を掴むかのように、鎧の上から手を当てる。

「はぁ・・・はぁ・・・」

まるで何十キロもの距離を全速力で走ったかのような感触。

吐き気はやがて耐え難いほどの寒気となって襲ってくる。

息が、出来ない。

ルイに助けを呼ぼうにも、彼は怪物の死骸へ向かっている。

もうこのまま死んでしまうんじゃないか、と思えるほどきつい。

と、唐突に心臓の鼓動が正常になった。

「・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

荒くなった呼吸を、落ち着ける。

額に浮いた汗が、頬を伝う。

今回の戦いも含め、最近疲れが溜まっているのだろうか。

帰ったら、すぐに休もう。

ある程度呼吸が落ち着いたころ、ルイがなにやら紙を手にして戻ってきた。

「おまたせ・・・って、何かあったのか?すごい汗だぞ」

「いえ、なんでもないわ。ちょっと・・・疲れてるだけだから」

そうか、と何やら納得致しかねる表情で、ルイが言った。

「なら、早く戻ろう。ローザの姐御やらに、報告しなきゃな」

言って座っている私へと、手を伸ばす。

それに応じるかのように、私も手を伸ばす。

よ、と掛け声を出して、ルイは私を立ち上がらせた。

塔を後にする。

空は、まだ暗い。

天には白い月が煌々と辺りを照らしていた。

「さ、帰りましょう。忘れ物は無い?」

冗談交じりに、ルイに言った。

「アルタじゃあるまいし・・・そんなヘマはしねぇよ」

「あれ? アルタってそんなに物忘れ酷かったっけ」

少なくとも、私にはアルタがそんなに物忘れが酷いという記憶は無い。

私の返事を聞いたルイは、少し意外そうな顔をした後

「なんだ、知らなかったのか。あいつ、昔の記憶が一部だけ抜け落ちてるんだよ」

「・・・え?」

物忘れと記憶喪失は違うのではないか、ということ以前に、アルタがそのようなことに

なっていることに、私は驚いた。

さらに、ルイは続けて言った。

「あいつ、自身の出身の国の戦場から、古都の入り口まで辿り着くまでの記憶が無いんだ。俺と出会ってしばらくしてから、奴自身が言ったことなんだが・・・。だが、さらに変なことに、奴の出身国そのものが、いくら調べようにも存在すらしてなかったんだ。つまり、奴は記憶喪失であると同時に、少々記憶が錯乱した状態でもあるんだ」

「・・・そう、だったの」

驚きすぎて、そんな返事しか出来なかった。

「悪い、言わなくてもいいことを言ったな。早く帰ろう」

そう言って、彼が歩き出す。

「・・・えぇ」

軽く相槌を打って、私も彼の後についていった。

月夜の晩。

この日の月は、なんだか昏く見えた。
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