趣味に生きる

紫鯖で活動してい『た』、とあるランサーの日記。

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第十一夜 ”衝動(前)”

小説っぽい読み物 2008/0420 Sun 01:08:25
こんばんは、作者です。

またしても前編と後編ものです。

トータルで見たら結構な量書いてるんじゃないでしょうか(笑)

リアルのほうも忙しくなってきたし、さぁ、これからが山場だ!

というわけで、多少の更新の遅れを、お許しください (;・∀・)

それでは、本編をお楽しみください m<_ _>m
「で、なんでこうなるのかしら・・・」

溜め息をつきながら、金に近い茶色の髪の女性が言った。

「仕方ないだろ、アルタがあんな風になっちまったんだから・・・」

やれやれ、と肩をすくめて、帽子を被った黒い髪の男性が、そう返した。

「まったく、元はと言えば私のせいなんだけど、あれはルイのせいなんだからね・・・」

言って女性は懐から懐中時計を取り出した。

時刻は、じき0時になろうとしている。

街が、静けさに包まれる。

互いに嘆息しながら、両者は今一度、今夜行うべきことを反芻しあう。

「まぁ、この際愚痴を言っても仕方ないわ、やることはわかってるでしょうね?」

射抜くような視線が、男性に突き刺さる。

冗談が通じる状況ではない、と判断したのか

「わかってるよ、子どもじゃあるまいし・・・」

ばつが悪そうに、男性は答えた。

「そう?なら、行きましょう」

回答が聞けて満足だったのか

そう男性に告げて、女性は闇へと駆けて行った。

「ほんと・・・仕事になると人格変わるなぁ、ルティは」

この前の可愛げはどこへやら、と苦笑して言った後、男性もまた闇へと紛れて行った。

今宵の月は、雲隠れ。

隠密行動をするには絶好の日和となるだろう。



話は、数時間前に遡る。


----------------------------------------------------------------


正午のこと。

任務の報告に来たアルタは、いつも通りローザと会話をしていた。

「日記・・・?」

意外そうに、ローザは言った。

「はい、日記です」

別段補足をするわけでもなく、アルタは事実を述べた。

しばしの沈黙。

視線を書類に留めたまま、ローザは何かを思案しているようであった。

口には、火のつけられたタバコがくわえられている。

「・・・日記はまだ完成してないんだな?」

「はい、まだです」

淡々と質疑応答が繰り返される。

両者は特に表情を変えることも無い。

「持ち主は」

「不明です」

「内容に関して何か心あたりは」

「今のところは特に無いです」

「八方塞だな。実につまらん」

目をやや細めて、ローザは言った。

タバコの煙を空中に吐き、まとめられた書類をめくっていく。

「日記のほうは私が直に行く必要も無いだろう。日記の件は引き続き任せる」

「わかりました」

よろしい、とローザが一言言うと、一枚の書類をアルタに渡した。

「話が変わるが、今回の任務について話をしよう。アルタ、お前は『名前』とは何だと思う?」

「名前・・・ですか?」

突然の謎かけに、アルタは困惑した。

「そうですね・・・人や物につけられているもの、程度にしか考えてなかったです」

そんな回答に、アルタらしいな、という返事が返ってきた。

「名前はね、人や物はそうだが、それを指し示す記号でしかないんだよ。私たちが暮らしている世界において、共通した言語、知識、認知を共有して、初めて名前は機能する。私たちの知らない言語で、例えば「石」と書かれていたとしても、それを名前として認識することは出来ないだろう?まぁ、この世界において言語は統一されているようだから、そこまで認知の誤差が顕著に現れることは無い。が、あえて挙げるとしたら、古代の言葉なんかが良い例だろうな」

「はぁ・・・」

話の趣旨が掴めないのか、アルタは難しい顔でローザの話を聞いていた。

「ようするに、だ。人々はそれらを区別するために、名前というラベルを使用する。剣士と一言で言うには、この世界に剣士は大勢いる。ゆえに、愛称だが「アルタ」と言う。そうすると、数ある剣士の中で同名がいなければ、少なくともお前さんにのみスポットを当てることが出来るだろう?」

「まぁ、そうですね」

たしかに、とアルタは頷いた。

「ところが、だ。今回の任務地にもなるわけだが、なぜか『名前が無い』のが『名前』になっている塔があるな?アリアンから南方へ行ったところにある、建てられた理由も、誰が建てたかもわからない、崩れかけた塔のことだ。あそこの地下でも、強力な怪物が確認されたらしい。そこに3人で向かってもらう」

「名も無い崩れた塔、ですね。ですが、地下深くというと・・・・」

思い当たる節があるのか、アルタは言い淀む。

「お前の想像している通りだよ、アルタ。地下の奥深く。デーモンたちの寝床にいる、一つ目のやつがいるな。名はドゥームスフィア。今回はそいつが撃破対象になる。聞いたところによると、やつは「魔眼」持ちらしい。詳細まではわからないが、何か特殊な力を持っていることに、間違いは無いだろう」

「特殊な力、ですか・・・また随分と曖昧な・・・」

毎度のことながら、やはり溜め息が絶えない。

敵の情報が明確でないことは、非常に危険なことだからである。

「まぁ、そんなに落胆するな。お前ら3人に狙われた相手に、私は同情するがね」

「その3人を差し向けようとしてるのは、どなたでしたかね」

アルタの視線を意に介さず、ローザは、さぁ、と一言返すのみであった。

「とりあえず、そういうことだ。期待しているぞ」

そう告げて、ローザは話を終わらせた。

「なんか釈然としませんが、わかりました」

ローザに背を向けて、アルタは歩き出した。



















依頼の旨を、ちょうど宿にいた残り2名に話す。

「塔の地下深く?行くのが面倒だな・・・」

「抵抗装備・・・銀行から引き出さないとね・・・」

反応はそれぞれだが、溜め息が伴う点においては、両者とも同様だった。

「まぁ、今回もそう悪い報酬じゃないし、行って損は無いと思うよ」

苦笑交じりに、アルタは言った。

2人はやや不満気味ではあったが、3人一緒なら、ということで同意した。

「あ、アルタ。ちょっといいかしら?」

居間から立ち去ろうとしたアルタを、ルティが呼び止めた。

「ん?どうした?」

「体調は元に戻ったんだけど、実戦感覚が鈍ってないか、確かめたいの」

だからちょっと付き合って、とルティはアルタに言った。

それは、実戦感覚を確かめたいから少し模擬戦闘をしましょう、という誘いであった。

「いいよ、場所は・・・古都の西から出て少し行った、廃墟地でいいかな?」

「えぇ、そこでいいわ」

「じゃぁ、準備が出来たら来てくれ、先に現地で待ってるから」

そうルティに告げて、アルタは自室へと戻っていった。

自室に戻る最中

「ルティとタイマンか? まぁ、死なないよう近くで見守ってやるよ」

忍び笑いを漏らしながら、ルイがアルタに言った。

「実戦感覚を確かめるだけだし、命のやり取りにまで発展することはないだろ」

ルイの忍び笑いを受け流し、アルタは自室へと入った。





















半刻後

「じゃ、始めようか」

どこか穏やかな、けれど緊張感を伴った声で、アルタは向かい側に立つ女性に言った。

「そうね、始めましょう」

木製の槍を構えながら、ルティが言った。

「両方とも、死なない程度にがんばれー」

両者からやや離れた位置で、ルイは気の抜けた声援を贈った。

古都から西へ向かった、やや荒地と化した場所で、両者は対峙する。

照りつける太陽、流れる雲、それらは穏やかな一日を演出していたが

両者の裂帛の気合が、それを打ち消す。

槍が構えられたのと同時に、アルタも木で作られた剣を構える。

「――!」

ルティは小さく息を吐くと、目前で剣を構えるアルタへと、駆けていった。

駆け出したルティの姿は、さながら稲妻の如く、目にも止まらぬ速度で間合いを詰める。

「―!」

しかし、見えない筈の彼女の姿を、アルタは鮮明に捉える。

剣士として鍛え抜かれた視力が、自身へと迫る紅い双眸を捕捉した。

ルティが息を吐いてから行動するまで、わずか数秒。

一瞬で間合いを詰め斬りかかる彼女の槍に、自身の剣をぶつけにかかる!

「・・・さすがね」

槍に込める力を緩めず、ルティが言った。

「・・・そっちこそ」

ルティと同様、剣に力を込めたまま、アルタが言った。

木製ならではの衝撃音を伴って、両者は力比べをするかのように、鍔迫り合った。

このまま持久戦に持ち込むことを嫌ったのか、ルティは後方へと飛んだ。

離れた間合いは、仕切り直すにはやや短い。

着地点に両足が着いたとき、ルティは再び疾りだした。

その深紅の瞳は、ただ目前の剣士にのみ向けられる。

再び槍を振るう間合いまで詰め、繰り出した斬撃は計3発。

三種三様の攻撃はしかし、アルタの繰り出した剣に止められる。

それでも、攻撃の手は緩めない。

思うより先に、身体が動く。

思うより先に、口が己が得意とする技名を紡ぐ。

「ラピッド―”刺し貫く―”」

アルタに向けられた槍の先端が、陽炎の如く揺らぐ。

向けられる技を即座に察知したのか、アルタはそれに応ずるべく、剣戟を放つ。

「スウィング―”連ね飛び交う―”」

陽炎の如く揺らめく刃を、弧を描く無数の剣筋が迎え撃つ!

「―スティンガー!”―神速の槍!”」

「―インフィニティー!”―無限の軌跡!”」

一瞬の攻防。

両者の武器が打ち合うたびに、わずかだが大気が震える。

もし、両者が木製などではなく本来の武器同士ならば、その衝撃は計り知れなかっただろう。

「いや~、なかなか良い見物じゃないの」

微弱な大気の振動を肌で感じながら、ルイが感想を漏らした。

攻防の後、両者はやや距離を開けつつ、対峙していた。

ルティが放った技は、アルタの技により、完全に相殺されていた。

両者は若干、肩で息をしているように見える。

「・・・なんだ、全然大丈夫じゃないか、ルティ」

緊迫感のあった表情を緩ませながら、アルタは剣を下ろした。

「・・・そうかしら?まぁ、アルタが言ってくれるなら、きっとそうなんでしょうね」

アルタが剣を下ろしたのと同時に、ルティもまた構えを解いた。

「あら、もう終わりなのか」

残念、とやや両者から離れた位置で、ルイが言った。

「ごめん、アルタ。後もう一撃だけ付き合ってもらえないかしら?」

構えを解いたルティだったが、再び槍を構えつつ、アルタに向き合った。

「もう一撃・・・?」

先ほどで十分ではなかったか、と言うような視線が、ルティに向けられる。

「そう、この木製の槍に、私の魔力を通して、それがどれほどの威力なのか見てみたいの。それに、ルイだって不満そうだし・・・」

「あぁ、なるほど。それならお安い御用だ」

ルティの言い分を、アルタはすんなり受け入れた。

「ありがとう、じゃぁ、いくわ」

両者は再び、互いの武器を構える。

「お、いいねいいね」

相変わらず、ルイの緊張感の無い声が響く。

そんな声に呆れながら、アルタが剣を構える。

瞬間

大気が凍りつくような感触を、アルタは感じた。

原因はすぐに察しがついた。

魔力が集いつつある、あの木製の槍。

薄紅色に覆われたそれは、明らかに桁違いの威力を有している。

薄紅色の魔力に覆われたそれが、大きく振りかぶられる。

「・・・っく!」

とっさに剣で防ぎに入るが、そんなもの、あの槍には通用しない。

即座にそう危険を察知したのだろう。

アルタは片手で木製の剣を握りつつ、もう片方の空の手を宙にかざしていた。

槍が、振るわれる。

長い射程を得たそれは、さながら死神の鎌の如く、アルタを薙ぐ。

木で出来た剣は、まるで防御の役割を持たず、紙のように斬られた。

とっさに空いた手に剣を持ち、アルタは防御を試みる。

鈍い金属音が、あたりに響く。

しかし、凄まじい衝撃力を伴って、アルタはそのまま側面へと吹き飛ばされた。

勢い良く吹き飛ばされたアルタは、近くの廃墟へと背中を打ち付けられる。

「あ・・・」

「ありゃ・・・」

呆気に取られる2名の目の前で、アルタは気を失って倒れるのであった。

そして

「ルティ・・・あれは反則だから、あまり使わないように・・・・」

息も絶え絶えに、アルタはベッドからルティへと言った。

「ごめんなさい、本当に反省してる・・・・」

ベッドの脇で、申し訳ない、と言わんばかりに、ルティが言った。

あの後、気を失ったアルタを宿へ運び、ルティはアルタを介抱したのであった。

「とりあえず・・・今日はもう休んで。後のことは、私たちでなんとかするから・・・」

それを聞いたアルタは、そうか、と一言言うと、深い眠りへと落ちていった。

部屋の入り口では

「まさか本当に死に掛けるとは・・・・」

半刻ほど前の会話を思い出し、やや苦笑気味のルイが立っていた。

2名になったことを受け止めて

2人は夜に、任地へ赴くことにした。
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