趣味に生きる

紫鯖で活動してい『た』、とあるランサーの日記。

スポンサーサイト

スポンサー広告 --/---- -- --:--:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

COMMENT

COMMENT FORM

name:

mail:

url:

comment:

password:

TRACKBACK URL

TRACKBACK

第九夜 ”夢幻ノ境地(前)”

小説っぽい読み物 2008/0408 Tue 23:13:34
リ、リアがー!

こんばんは、作者です。

少々リアでゴタゴタした事態が発生しまして。

「きゃー私のリアがー」みたいな。

「リアルのことかー!!」みたいな。

そんなこんなで前編と後編の2本立てです。

タイトルにやっと日本語使うようになりました。

いや、特に意味は無いんですが (;・∀・)

ちなみに今までのタイトルの和訳は

第一夜:復讐夜(ふくしゅうや)
第二夜:月夜(つきよ)
第三夜:深夜会合(しんやかいごう)
第四夜:寒空(さむぞら)
第五夜:真実を求めて
第六夜:伝説(でんせつ)
第七夜:”覚醒”
第八夜:”忘却の烙印”(ぼうきゃくノらくいん)

以上のようになっています。

では、本編をお楽しみください m<_ _>m
また、あの夢を見た。

灰色の濃淡のみで描かれた世界。

有色でもあり無色でもあるような世界。

そして、永遠に繰り返される世界。

私はそこに、1人で佇んでいる。

足元を走る草原も灰色で、草は風でなびいているのだが、風を感じない。

まるで映像を見ているかのようだ。

もっとも、映像を見て出るものは嘆息しかなかったわけだけど。

しかし、そんな味気ない景色も、今回は違うようだ。

空に、色がついていた。

今までは灰色一色で、雲の輪郭線が無ければ、空との見分けがつきにくかったあの空が

今回は青く、果てしなく澄み渡っていた。

それだけでも、この目に映る景色は、少々違うものになる。

空以外はいつも通りなこの草原の向こう

いつも通りうっすらとした輪郭を見せるその人物は、やはり私に話しかけてくる。

声が聞こえないのに、声が理解できるというのも、相変わらずだ。

まるで言葉を形にして見ている様な錯覚を覚える。

    ―業を背負い続けてどうする

            ―背負ったまま歩き続けた果てに何を見る

 ―はたしてそれは意味があるものなのか

                 ―それも所詮、お前の自己満足に過ぎないだろうに

小言なのか説教を垂れているのか。

この声は私にとって、明らかに不愉快なものだ。

人間は自己満足するために生を謳歌する。

お金持ちになることも、仕事が成功することも、冒険をすることも

全てはその人が満足出来るかどうかの問題だ。

『幸福』という『自己満足の総称』のために、人は生きるのだ。

それは、私とて例外ではない。

そんなわかりきったことを、なぜ今更問われなければならないのだろう。

たとえそれが歪であろうと

たとえこの身が血で濡れようと

たとえ、それが人の道に反することであろうとも

私の決意は変わることは無い。

そう、10数年前のあの日、父の墓前で誓ったのだから―――














目が覚めていく。

世界が、徐々に遠のいていく。

草原に立っていた体が、徐々に手前に引き戻されていくような感覚。

草原に立っていた自分が、白いキャンパスに描かれた世界の前に立たされる。

灰色の世界を描いたキャンパスの前からも、さらに遠ざかる。

やがて絵も見えなくなって、私は現実へ落ちていった。


--------------------------------------------------------------------


昨日の雨も、今朝になれば降り止んでいた。

夜遅くまで降っていたせいだろう。

歴史を象徴するかのような古都の石畳には、あちこちに水溜りが出来ていた。

通りはいつも通り、多くの人が行き交っている。

水溜りをさけて通る通行人をよそに、子どもたちが走り抜けていく。

天気は快晴、出かけるには最高の一日になるだろう。



あらかたの業務をこなしつつ、ルイと共に旅支度を始める。

「今日はローザさんのところに行くから」

今日一日の予定を、ルイに話す。

「それは構わんが・・・いいのか?」

いつもなら「あいよ」の一言が返ってくるルイも、今日は気乗りしている様子が無かった。

それもそうだろう。

いつもならここにいるはずのルティが、まだ目を覚ましていないのだから・・・。

今朝、彼女の部屋の様子を見に行ったが、彼女は相変わらず眠り続けていた。

呼吸の様子がおかしいわけでも、苦しさに顔を歪ませることも無い。

本当に「眠っている」のだ。

今にも目を覚ましそうで、けれど目を開けることも無く。

それは、良く出来た人形を想像させた。

「ルティは・・・大丈夫さ」

根拠の無い、けれどそうあって欲しいという願いを、口にする。

「まぁ、俺らが帰ってくる頃には目を覚ましてるだろうさ」

そんな自分のことを察してか、ルイが軽口を叩く。

いつもなら軽く怒るところだが、今日はありがたかった。




「・・・よし、行こうか」

支度を整え、入り口へ向かう。

「あいよ」

言って、ルイが後ろからついてくる。

宿の入り口から出る際、階段のほうを振り返る。

誰も、いない。

誰も、降りてこない。

「出来るだけすぐ戻ってくるよ」

誰もいない階段にそう言って、入り口の鍵を閉めた。















古都からハノブ方面へ進むこと、1時間。

かつて3人で歩いていたこの街道も、今はあの時より広く感じる。

「3人から2人なんだ・・・・・当然か・・・」

物理的側面から、自問した答えはすぐに出てきた。

「ん、何か言ったか?」

「いや、なんでもない」

その後特に、といった会話をすることもなく。

ローザさんのいる樹に辿りついた。


「こんにちは、ローザさん」

樹の根元付近の、いつもの岩に腰掛けているローザさんに声をかける。

「お、アルタか。なにやらルティが大変なことになったそうじゃないか」

タバコを指で挟みながら、ローザさんは言った。

「はい、実は――」

事の顛末を話す。

「なるほど、ルティでさえも苦戦したのか」

話しの最中でも表情は一切変えず、ローザさんが言った。

「はい、と言っても・・・俺が不甲斐無いばかりに・・・」

ルティが気を失ってしまったのだ、と。

教会で罪を告白するように、俺は言った。

「不意打ちで生き残れたんだ、それだけでも大したもんだよ」

前日の雨と暖かい日差しで蒸し暑くなったのか。

ルイが帽子で顔を扇ぎながら言った。

「まぁ、そこらへんはお前らで解決しておいてくれ」

そこまで言って、ローザさんは指に挟んでいたタバコを一服する。

口にタバコをくわえたまま、ローザさんは話題を切り出した。

「さて、本題に入ろう。ルティが倒れたということは油断できない、ということだな」

話しの結論として同意を求める視線に対し、ルイと共に黙ったまま頷く。

「ルイから聞いているとは思うが、最近各地で場違いに強い怪物共が現れている」

「犠牲者も既に3桁に上ろうとしている、そしてそのほとんどが冒険者だ」

「アルタ、ルイ。お前らには今回、ソルティケーブ滝に向かってもらう。」

書類をめくりながら、ローザさんが言った。

「姐御?塩に俺とアルタとは力量的に余裕になると思うんだが・・・」

たまらず、ルイが声を上げた。

塩とはソルティケーブ滝の通称である。

冒険者たちが主にソロ、すなわち単独で行くことが多いこのダンジョンにおいて

2人組み、それも力量的にだいぶ上の2名が赴く、というのは異例のことだ。

「話は最後まで聞け、ルイ」

視線を書類に向けたまま、ローザさんが言った。

「このソルティケーブ滝・・・通称塩だが、現在は少々変わった事態になっている」

「変わった事態?」

「そうだ、アルタとルティが対峙した怪物なんかの話は全く無いわけだが」

「なら、全然余裕じゃないか」

「話は最後まで聞け、と言っただろう、ルイ。」

「この滝、怪物の噂が無いんだが、なぜか『犠牲者の数が最も多い場所』になっているんだ」

「そこでだ、アルタ、ルイ。お前らの今回の仕事は、この原因解明と解決になってくるわけだ」

めくり終えた書類をすべて表に戻し、ローザさんの瞳が立っている2名を映す。

「大した強敵もいないのに犠牲者が最も多い?矛盾してねぇか・・・姐御」

謎かけのようなこの不思議な現象に、ルイは早くもお手上げのポーズを取っていた。

「その滝に向かう冒険者が多いから、総合的に犠牲者数が多くなってるんじゃないですか?」

とりあえず、話を聞いて推測できる限りで、答えてみた。

「良い線だが外れだ、アルタ」

口からタバコを取って、煙を吐く。

「たしかに、塩に向かう冒険者たちは、他のダンジョンに比べて多いと言えるだろう」

「だが、犠牲者が増えだしたのはね、各地に怪物共が観測されだしてからなのさ」

タバコを指に挟んだまま、ローザさんが理由を説明した。

なるほど

たしかにそれなら、各地に出没しだした怪物たちと、何か関連があるかもしれない。

「わかりました、俺とルイで、塩に行ってみます」

「期待しているぞ。あぁ、それとアルタ」

何か思い出したかのように、ローザさんが言った。

「前回の任務でお前が持ち帰った品なんだが、こんな物が出てきてな」

言ってローザさんは、一枚の古びた紙を差し出してきた。

本の1ページのように、見えなくも無い。

古びた茶色の紙には、何やら文章のような物が書かれていたが、古代の言語らしく

読むことは出来なかった。

「何が書かれているか、気になってな」

「お前はこの前、ルティと共にスマグに行っただろう?」

「そこで会ったウィザードに、この文章の解読をしてもらうよう、頼んではくれないか?」

「私がしたいのは山々なんだが、あいにくと各地の怪物の出現で忙しくてね」

「ヴォルザーさんにですね、わかりました」

ローザさんから受け取った紙を、カバンに直す。

「すまないな、自分の趣味を他人に押し付けることは、ほとんど無いんだが」

新しいタバコを指に挟みながら、ローザさんが言った。

「いいですよ、いつもお世話になってますし」

「では、行ってきますね」

ルイと共に歩き出す。

目的地へと向かう背中が、期待しているぞ、というさよならを聞いていた。
スポンサーサイト

COMMENT

COMMENT FORM

name:

mail:

url:

comment:

password:

TRACKBACK URL

TRACKBACK

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。