趣味に生きる

紫鯖で活動してい『た』、とあるランサーの日記。

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第五夜 Searching Fact

小説っぽい読み物 2008/0325 Tue 18:28:32
第五夜です。

予想以上に長くなりそうです。

まるで予定が立てられない漫画家のような気分です。

10巻で終わるはずが調子に乗って30巻まで出しちゃいました、みたいな。

そんなことにならないよう、気をつけたいと思います。

うん、書き始めたら止まらない。なんてことがあるからいけないんだ。

それでは、本編をお楽しみください m<_ _>m
それは、夢の中だった。

空も、大地も、太陽も、目に見える全てがモノトーンの灰色。

そこに、唯一色彩を持って、私が立っていた。

手には無骨なランス。

体には鎧を着込んでいる。

なぜ、ここに立っているのだろう。

理由もわからず、灰色一色の世界を見回す。

視界をめぐらせると、向こうに誰かが立っている。

世界と同じ灰色。

草原の向こうに、誰かが立っている。

その誰かが、聞こえない声で、けれどはっきりとわかる声で告げる。

まるで、頭の中に直接語りかけてくるような声。

―消してしまえばいいじゃないか

       ―お前の憎むべきものも

           ―憎しみを持つお前自身も

               ―そうすればほら、世界はこんなにも穏やかじゃないか

一方的に語りかけてくる声に対して、反抗する気も無い。

これは夢なのだ。

実際に言われていることではない。

なのに

なぜかこの声に対しては、一々癇に障る。

何の権限があって、この声は私に消えろと言うのだろうか。

私は消えるつもりなど無い。

それは今のこの時も、むろん、この先も変わることは無い。

自殺願望がある人間がいれば、話は別だろうが。

けれど、今の私には、それは無い。

灰色の草原の中、まるで鏡を見るように対峙する、2つの影。

草を揺らす風が、頬を撫でる。撫でた風を、風だと感じない。

そして、夢から醒める。

醒める間際になって、思い出す。

あぁ、これで何度同じ夢を見たのだろう。




目を開ける。

枕元に置いた時計が、午前7時を指す。

窓からは、まぶしい陽の光。

軽く目をこすってから、上半身だけを起こす。

復讐の実行犯を倒してから、妙な夢を見る機会が多くなった。

やはり念願だった奴を倒したことに、多少なりとも満足して、気が緩んでいるのだろうか。

先ほどまで見ていた夢も、覚醒していくなかで虚ろなものになっていく。

漠然とした不安を感じていたが、朝の新鮮な空気が、それを拭い去る。

「さて・・・」

ベッドから体を出す。

朝の日課として、鍛錬をこなす。

鍛錬と言っても、朝から体を動かすわけではない。

単に「集中する」だけである。

アーチャーとしての技能に、「瞑想」と言われるものがある。

矢を当てるための、精神向上技能として知られている。

しかし、集中することはなにも、アーチャーのみに当てはまることではない。

集中する、ということは全ての武道に通ずる部分があるのだ。

無の境地に身を置くことで、何事にも動じない心を鍛える。

そうしておけば、戦いの中で常に平静でいられる。

しばし、目を閉じて神経を集中させる。

音が、完全に途絶える。

暗闇という世界で、まるで上空から自分を見るかのような錯覚。

目を閉じてから30分。

「ふぅ・・・」

肩で大きく息を吐いて、静かに目を開ける。

気を充実させた後、部屋を後にする。

階下の洗面所に行くと、そこには目を覚ましたばかりのルイがいた。

「おはよう、ルイ」

「おひゃよう、ルティ」

シャコシャコと、ルイは歯を磨きながら返事をした。

顔を洗う。

冷たい水が、眠気を完全に吹き飛ばす。

顔を洗い、歯を磨いた後、居間へ行く。

そこには、既に朝食の支度を済ませている、アルタの姿があった。

「おはよう、ルティ」

私が来たことに気づいたのか、アルタが声をかけてきた。

「おはよう、アルタ」

朝の挨拶を交わし、テーブルへ向かう。

テーブルには、焼かれたパンとサラダ、スープの注がれたカップなどがあった。

やがて後からやって来たルイと、台所から出てきたアルタの3人で、朝食を取った。






朝食後

テーブルでブルンネンシュティグ風聞録(新聞紙のようなもの)を読んでいたルイと

同じくテーブルでコーヒーを飲んでいたルティに、今日の予定を話す。

「今日はスマグに行くんだけど、2人とも予定は大丈夫かな?」

ローザさんのところを訪れてからおよそ1週間。

これまでなかなか予定が整わなかったが、ようやく時間を作ることに成功した。

スマグに行く、ということに反応したのか。

「私なら今日は大丈夫」

ルティは即座に行く意を示した。

対照的に、ルイは

「あぁ~悪いけど今日はパス」

風聞録を読みながら、そう答えた。

「ん、何かやることでもあるのか」

3人で行動することが多いため、なんとなく理由を尋ねる。

「これ」

と、ルイは風聞録のとあるページを開いて、渡した。

「・・・○×クイズ大会?」

思わず、書かれている文章をそのまま読んでしまった。

「そう、○×クイズ大会」

言ってルイは風聞録を取り上げた。

「○×クイズに出るなんて、珍しいな」

そう、ルイはこういった俗世間的なイベントは大の苦手なのである。

ブルンネンシュティグで開かれるほとんどのイベントには

片っ端から無視を決め込む、という逸話があるほどである。

「なに、たまには自分のインテリぶりを披露するのもわるくないだろ」

自信たっぷりに、ルイが言う。

「そうか、まぁ、頑張れ」

たぶん、落ち込むことだろうと思い、俺はそれ以上の追求はしなかった。

「じゃぁ、昼食はそっちでなんとかなるな?」

「あぁ、ブリッジヘッドでとるよ」

ルイとの予定を話し合う。

鍵は持っているはずなので、家に入れない、ということはないだろう。

「じゃぁ、ルティ。行こうか」

部屋の戸締りを終えた後、ルティに声をかける。

と、あの事を思い出した。

「そういえば、ルティ、あの手紙は?」

ローザさんから渡された手紙を思い出した。

たしか、あれはルティが持っているはずである。

「えぇ、ちゃんと持ってるわ」

空の左手で空中を掴む。

左手には、既に一通の見覚えのある、封のされた手紙があった。

「そっか、なら安心だ」

ローザさんが何を書いたのか気になるが、開けるわけにはいかない。

確認後、居間を後にする。

時刻は午前9時。

大通りは相変わらず、多くの人で賑わっていた。


古都の中心地からやや南西。

魔法都市スマグから派遣された、魔術師の下へ向かう。

彼等は魔術協会の布教がてら、各地の都市に現れる。

さらに、1万ゴールドの料金を支払えば、大抵の都市へ送ってくれるのである。

しかし、布教が目的ならば、なぜスマグ自体にテレポート出来るようにしないのだろうか。

疑問が残るが、まぁ、便利であることに変わりは無い。

「すいません、ハノブまで2人お願いします」

言って2万ゴールドを渡す。

「かしこまりました。では、行きますよ」

魔術師が何やら呟いたかと思うと

視界は一瞬でハノブに切り替わった。

「相変わらず便利ねぇ」

隣でルティが感慨深げに言う。

「たしかに」

それに相槌を打つ。

人を一瞬で移動させるあたり、彼らの力は一体どれほどのものだろうか。

興味は湧いたが、それもすぐに消えた。

「じゃぁ、ここから歩いて行こうか」

「そうね、行きましょう」

ルティと共に、歩き出す。

ハノブから出て、一旦南東へ。

その後北方へ移動し、西へ移動すれば魔法都市スマグである。

道中、道の確認をしながら、道を進む。

茂みを歩く際、突如として野犬が襲ってくるも

「デザート―”蹂躙せし―”」

「サザン―”逃げ場無き―”」

襲ってきた方向を即座に察知し

「―ブラスト!”―横薙ぎの一閃!”」

「―クロス!”―十字の刻印!”」

大きく横に薙いだ槍と、十字を描く剣の軌跡により

野犬は全く手出しが出来ず、地に伏せるのであった。

やがて、草原が輝いていた平地とはうって変わり、荒れた大地が目前に広がった。

木々が所々に乱立し、石像もちらほらと見える。

茶褐色の大地は、さながら火山地域を彷彿とさせた。

ルティと共に荒野を歩くこと20分。

いかつい顔の石像の前に立つ、2名の警備兵が目に入った。

「ようこそ、魔法都市スマグへ」

警備兵からの労いの言葉。

「ごくろう様です」

こちらも挨拶を交わし、都市の内部へと入っていく。

都市内部は、古都とはまた違った雰囲気に包まれていた。

木造作りの、長短な建物。

噴水に浮かぶ、巨大な石像。

観光客だろうか、噴水にお金を入れて祈りを捧げている人もいる。

そうした風景を横目で見ながら、スマグの中枢へと向かう。

ウィザードギルド

ウィザードたちで構成された組織である。

魔術協会とも言われ、日夜魔術に関する研究等が行われている。

そのウィザードギルドの建物の奥。

長椅子が並べられた先の壇上に、ウィザードギルドの長が立っていた。

顎からは腹部まで届く白い髭。

髪の色も真っ白なこの老人は、それだけでなかなかの気配を漂わせている。

声をかけようと近づいた。

しかし

長老は立ったまま、熟睡していた。

よほど疲れているのだろうか。

立ったまま眠る、という光景も滑稽だが、それ以前にこの人物はギルドの長である。

このような姿を他のメンバーに見られたら、示しがつかないのではないだろうか。

などということを考えたが、それは自分が考えるべきことではない。

寝ているところを起こすのは気が引けたが、声をかけることにした。

「あの、すいません」

声をかける。

老人は立ったまま、ピクリとも動かない。

「あの、すいません」

すいません の部分を強調して、再度声をかける。

すると

「ん、ん~・・・はて、どちら様かな?」

目が覚めたのか、老人がこちらに気づいた。

「長老様、実はお願いがあり、ここに来ました」

言って事の経緯を話した。

それを静かに聴いていた長老は

「なるほど、我がギルドに悪魔に精通してる輩がいると、な?」

「はい、それと、これを」

ルティから手紙を受け取り、長老へ渡す。

「ほう、誰かからの紹介状か?」

まるで楽しげに、長老は手紙を受け取った。

「はい、調査をするのであればこれを、とローザさんからもらいました」

「なんと、あの悪魔が手紙をよこしてきおったのか」

カッカと、老人は笑い出した。

「いや、失礼。彼奴が手紙を出してくるとは夢にも思わなくての」

言いながら手紙を一通り読んだ後

「なるほど、彼奴の頼みならば無碍にも出来まい。主らに協力するとしよう」

と、予想以上に良い返事が返ってきた。

「ご協力、ありがとうございます」

言って頭を下げた。

「いやいや、彼奴には借りが多くての。ここらで借りを返さねば後が怖いわい」

ローザさんは一体、政治的にどれだけの力を持っているのだろう。

少々思案したが、なんとなく恐ろしくなったので止めた。

思案している途中、長老も考え事をしていたらしく

「ふむぅ・・・我がギルドで悪魔に詳しいやつと言えば・・・」

と、ぶつぶつと何か呟いていた。

「おぉ、そういえば悪魔に関して研究をしている者がいたな」

まるで何か閃いたように、長老は言った。

「本当ですか」

後ろから、ルティが声をあげる。

その瞳には、少々の敵意を感じた。

「ルティ、落ち着こう。まだ犯人と決まったわけじゃない」

長老に聞こえないよう、小声でルティに言った。

「で、その悪魔を研究なさっている方のお名前は?」

早々にこの場を離れようと思い、長老に質問する。

「うむ、たしか”ヴォルター”と名乗っておったな」

「自分の名前は長いので、こちらで呼んでくれ、と言っておった」

「たしか、今はウィザードたちの研究室におるはずじゃ」

「研究室ですね、ありがとうございました」

居場所を聞くと、ルティは早足で出て行った。

「あ、おい!ルティ! すいません、連れが失礼なことを・・・」

長老に向き直り、頭を下げる。

「ふむ、何か気に障ることでも言ってしまったかな?」

訝しげに、長老は言った。

「いえ、あいつは、その・・・昔から人見知りなやつでして」

場を取り繕おうと、必死に言葉を探す。

「そうか、人見知りならば致し方ないのぉ」

と、長老はあっさりと言い分を受け入れた。

「若いうちはまだ修整が効く、以後、気をつけるようにの」

ほっほっほ、と長老は笑っていた。

なぜこの人物が長をしているのか、少々わかった気がした。

「あ、はい、では、ご迷惑をおかけしました」

「うむ、ローザによろしく伝えておいてくれ」

踵を返し、ルティを追った。

いつものルティらしくない。

駆け足でルティを追う。


アルタがルティを追い、長老の前から去る。

その背中を

長老はアルタが見えなくなるまで、ずっと見続けていた。
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